DXとは

posted by 2020.10.22

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 最近よく新聞で目にする”DX”
「デラックス」と読むかと思いきや「デジタルトランスフォーメーション」
「trans」には「交差する」という意味があるので「X」と略すようです。

”DX”は元々は2004年にスイス人の大学教授によって提唱された概念で、日本では2018年に経済産業省が次のように定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

 

 会計や税務には一見関係なさそうな話ですが、会計の世界ではクラウドの会計ソフトを中心にDXが進みつつあります。
従来は単に紙をデータに置き換えるような話でしたが、最近ではデータ取り込みによる自動化、アプリでの経費精算、テレワークによる作業、各種システムの統合などを通じて合理化・効率化を進め、リアルタイムで出す数字を経営判断に活かす、という方向で進んでいます。

 

 税務的な話ではこのような取り組みを行う企業を税制優遇でサポートする案も出ています。
2021年度税制改正で、DXへの取り組みに関して国の認定を受けた企業に税優遇(税額控除・特別償却)をする案が検討されており、産業競争力強化法の改正で対応する予定です。

 

 類似する現状の制度としては「中小企業経営強化税制」があります。
この制度は生産性向上、収益力強化、デジタル化に資する設備投資をした場合に全額償却又は税額控除(7%・特定中小企業者等は10%)できる、というものです。
A、B、C3つのコースがあり、C類型が「デジタル化設備」です。

【対象資産】
・事業プロセスの遠隔操作、可視化又は自動制御化のいずれかを可能にする設備
・機械装置(1台160万円以上)、工具器具備品(1台30万円以上)、建物附属設備(1つ60万円以下)、ソフトウェア(1つ70万円以上)

【手続きの流れ】
① 認定経営革新等支援機関による事前確認
② 経済産業局による認定
③ 経営力向上計画の申請
④ 設備取得・事業共用
⑤ 税務申告

 ①②はさほどややこしくはありませんが、③の経営力向上計画はやや手間がかかります。
ただ、計画作成を通じて自社の強みや今後の課題が明らかになる効果もあるため、該当する設備投資の予定があれば前向きに取り組む価値はあります。

 とは言え、創設されるDX税制では手続きをできるだけ簡素化して使いやすい制度にしてもらいたいところです。