連休で間が空いてしまいましたが、年金の3回目は確定拠出年金からです。
前回の確定給付年金(DB)はもらえる年金が確定しているのに対し、確定拠出年金はもらえる年金は確定しておらず、掛金は一定であることからDC(Defined Contribution Plan:出資が明らかな年金)と呼ばれています。
違いは運用リスクを誰が負うかという点でDBは企業ですが、DCは個人ごとに勘定があり、個人が負います。
つまりいくら年金がもらえるかは自分の運用次第ということになり、低金利で運用益が期待できない昨今において企業のリスクは減る面があります。
⑦ 企業型確定拠出年金(企業型DC)
企業が掛金を毎月積み立てて、従業員は自分で年金資産の運用を行う制度。
<加入条件>
厚生年金の被保険者のうち65歳未満の方で、60歳以上の場合には60歳までと同じ事業所に継続して勤務している方に限られています。
この加入条件が今年の改正により拡大し、2022年5月以降は70歳未満という条件になり、同一事業所勤務の条件もなくなります。
<受け取り>
60歳以後に退職後一時金又は年金で受け取ります。
老後の生活保障を目的としていること、運用益が非課税になる税制上の特典があることから、原則60歳まで中途での引き出しはできません。
<掛金>
上限は他の企業年金がなければ月55,000円、あれば月27,500円。
掛金に関しては従業員が上乗せできる「マッチング拠出」という制度もあります。「従業員拠出分≦企業拠出分」であることと、合計で限度額を超えないことが条件です。
<投資教育>
いきなり年金資産を運用しろと言われても…ということもあり、企業には従業員に運用の知識や情報を提供する投資教育を行う努力義務が課せられています。
運用手段としては主に「元本確保型」の定期預金や保険と「価格変動型」の投資信託があります。
年齢別に見ると、29歳未満では定期預金の割合が高く、30~59歳では投資信託の割合が高くなり、60歳以降では比較的均衡しています。
⑧ 個人型確定拠出年金(iDeCO)
自分で掛金を決めて加入し、自分で年金資産の運用を行う制度。
「i」は「indivisual-type(個人型)」という意味です。
<加入条件>
20歳以上60歳未満で公的年金に加入している人。
かつては個人事業主と企業年金がないサラリーマンしか使えませんでしたが、2017年に拡大され、企業年金のあるサラリーマン、公務員、専業主婦(夫)も対象となり、現役世代のほとんどが加入できるようになりました。
現状では、企業型DCのある会社では労使合意がないと加入できませんが、改正により2022年10月以降は労使合意なしでも原則加入が可能になります。
<受け取り>
企業型と同じ
<掛金上限>
・自営業者:68,000円
・会社員(企業年金なし) :23,000円
・会社員(企業年金なしDBあり):20,000円
・会社員(企業年金あり) :12,000円
・公務員 :12,000円
・専業主婦(夫):23,000円
※ 税金の取扱い
≪拠出時≫
・企 業:損金
・従業員:社会保険料控除
≪運用時≫
・運用益は非課税
≪給付時≫
・年 金:雑所得(公的年金等控除で軽減)
・一時金:退職所得(退職所得控除、分離課税、×1/2で軽減)
税金面の優遇があることや年金法改正により、企業型DCの問い合わせをいただくことが増えました。
税金については上記の3段階での優遇のほか、給料を年金拠出に置き換えることで毎月の社会保険料や所得税住民税の軽減にもつながるので、年金法改正も相まって今後も導入は増えていきそうです。