年金のキソ ② 3階

posted by 2020.09.18

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 前回の続きで年金の3階部分を見ていきます。

 

<3階>
④ 厚生年金基金

 確定給付型の企業年金の1つ。
”確定給付型”とは企業が従業員に将来の年金額をあらかじめ約束している年金制度を言い、DB(Definded Benefit Plan)とも呼ばれます。

 企業や業界団体等が厚生労働大臣の認可を受けて厚生年金基金を設立し、老齢厚生年金の一部を代行するとともに、独自の上乗せ(プラスアルファ)を行います。
厚生年金のように強制加入ではなく、企業が年金の充実を図るために任意加入します。従業員の保険料は厚生年金のみの場合と変わらず、上乗せ部分の原資は企業が負担します。

 厚生年金基金はバブル時には厚生年金加入者の1/3を占めるほど普及しましたが、バブル崩壊で運用が悪化して年金給付の財源不足が社会問題化しました。
そこで平成26年に実質的に廃止され、新規設立が不可となり、他の企業年金への移行が促進されました。今残っている基金(10件・加入者16万人)は財政的に健全な団体です。

 

⑤ 確定給付企業年金

 確定給付型の企業年金の1つ。
企業が従業員の同意を得て、制度内容を定めた年金規約に基づき、掛金を外部拠出して運用し、年金の給付を行います。
④と同じく企業の任意加入で、保険料は原則として企業負担ですが、半額までは従業員負担にもできます。
年金の受け取りは、5年以上の有期年金、終身年金、一時金のいずれかを選びます。
件数は約13000件、加入者数は940万人で現在でも企業年金の主流となっています。

 

⑥ 年金払い退職給付

 公務員が加入していた共済年金は平成27年に厚生年金に統合されましたが、その際に共済独自の年金である「職域加算」が廃止され、新たにできたのが「年金払い退職給付」です。

 従業員ごとの仮想の個人勘定を設定し、1.5%の付与額+利子を積み立てていきます。
保険料(1.5%)は国地方と従業員が折半で負担し、年金の受け取りは有期年金(10年・20年)、終身年金、一時金のいずれかを選びます。

 

<税金の取扱い>

≪拠出時≫
・企 業:損金
・従業員:④は社会保険料控除、⑤は生命保険料控除

≪運用時≫
・運用益は非課税

≪給付時≫
・年 金:雑所得(公的年金等控除で軽減)
・一時金:退職所得(退職所得控除、分離課税、×1/2で軽減)

 

 次回は本題の「確定拠出年金」を見ていきます。