概算取得費と市街地価格指数 ①

posted by 2020.09.10

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 不動産を売却した場合、売値と買値の差額に税金がかかるわけですが、いくらで買ったか分からないことがあります。
その場合、「概算取得費」という方法が使えます。
これは売却額の5%を取得費とするものですが、逆に言うと95%が利益になるので譲渡税は大きくなります。
先祖代々の土地など取得費が極端に低い場合は5%でも十分かも知れませんが、そうでない限り取得費はもっと高いはずです。
そんな場合に統計的な数字である「市街地価格指数」を使う方法がありますが、否認されている事例もあるため、使用する際には注意が必要です。

「市街地価格指数」を使う方法とその注意点について確認しますが、その前に譲渡所得の計算方法と「概算取得費」についてまず見ていきます。

 

1.譲渡所得の計算

① 算式

・譲渡所得 = 収入金額 -(取得費+譲渡費用)

② 取得費となるもの

・購入費、建築費、購入時仲介料
・建物は購入額ではなく減価償却費を引いた金額
・取得後の設備費、改良費
・土地購入時の造成費用や測量費
・取得に必要な税金である登録免許税、不動産取得税、印紙税
・立退料(買う物件に借主がいる場合)
・訴訟費用(〇所有権確保目的 ×遺産分割のため)
・建物の取り壊し費用(買っておおむね1年以内に上物を取り壊し)
・使用開始までの期間に係る借入金利子
・購入不動産を変更した場合の違約金 等

 

2.概算取得費

① 算式

・収入金額✖5%

② 留意点

・建物に関しても5%を掛けるのみで償却費は控除しません
相続税の取得費加算※については概算取得費に上乗せで足すことができます。

※相続時に払った相続税を取得のためにかかった費用として取得費に上乗せできる特例

 

 長くなるので「市街地価格指数」を使う方法とその注意点については次回に続きます。