2020年路線価

posted by 2020.07.3

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 今年も7/1に路線価が発表されました。
コロナで遅れるような噂もありましたが、何とか間に合わせたようです。

 路線価とは”相続税や贈与税の計算の基礎となる1㎡当たりの土地の価格”で公示地価(国土交通省)や売買実例を元に算出されています。
毎年1月1日時点を基準にしているため、今回発表されたものはコロナの影響は織り込まれていません。
その前提で傾向を確認していきます。

 

<全国>

全国平均では、5年連続の上昇で「+0.2%⇒+0.4%⇒+0.7%⇒+1.3%⇒+1.6%」と上昇幅も拡大傾向にあります。

・トップは35年連続で東京・銀座にある「鳩居堂」前の銀座中央通りで1㎡あたり4592万円。上昇幅は前年より縮小しています。

・都道府県別では観光需要の活発な沖縄が+10.5%でトップ。ついで東京+5.0%、宮城+4.8%、福岡+4.8%と続き、観光地や再開発が続く都心部で上昇しています。

・逆に愛媛、三重、岐阜など26県でマイナスとなっているものの下落幅は縮小傾向にあります。

・2020年4月の時点ではインバウンドの減少、オフィス需要の減少、不動産売買の減少などにより、1月と比べると既に横ばいあるいは下落している地域も出てきています。

 

<近畿>

・近畿トップは37年連続で「阪急うめだ本店」前で1平方メートルあたり2160万円。

・最大の上昇はインバウンドの影響で、ナミの「戎橋ビル」前で+44.6%、2位は阪急うめだ本店で+35%、3位はグランフロント大阪南館前で+31.5%

・最高路線価を県別に見ると、ホテル需要の活発な奈良で+21.2%と京都や兵庫を上回る伸びとなっています。

県別では京都+3.1%、大阪+2.5%、兵庫▲0.1%、滋賀▲0.1%、奈良▲0.3%、和歌山▲1.1%

・昨年まで活発なオフィス需要があったもののコロナの影響で空室率の上昇と家賃の下落が始まっています。

 

 インバウンドと都市への集中による上昇という傾向で近年の路線価は推移してきましたが、コロナでちょっと状況が変わったようなところもあります。

 コロナの副産物としてテレワークが登場し、オフィスに求められるものも変わりつつあるので、そういった変化に対応できるかどうかも街の魅力の1つとなり、路線価に影響を与える事由となっていきそうです。

 

 今回の路線価にはコロナの影響は反映されていませんが、9月に都道府県から発表される基準地価7月1日時点で算定しているため、コロナの影響もある程度反映されそうです。
基準地価路線価で大幅に乖離があるような場合には、地域ごとに一定率を掛けて路線価を減額修正する案も検討されています

 評価額をベースに土地の贈与を考えておられる場合は、判断を少し待ってみてもいいかも知れません。