持続化給付金の拡大(給与・雑所得)

posted by 2020.06.30

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 前回の続きで持続化給付金の範囲拡大について見ていきます。

 持続化給付金はコロナによる営業自粛等で影響を受ける事業者の事業の継続を支えるための給付金です。
個人の場合は個人事業者」が対象で、確定申告を「事業所得」として行っていることが前提です。
ただし、小規模事業者やフリーランスの方が「雑所得」「給与所得」としていて申告しているケースがあります。
例えば、税務署に申告相談に行った際に「あなたの規模であれば雑所得で申告して下さい」と指導されたケースや、事実上は個人事業主なのに発注先との契約の関係で給与所得になっているケースがあります。
このような場合に持続化給付金が受け取れないのは酷なので、第2次補正予算にて見直しが行われ、昨日6月29日から「雑所得」や「給与所得」で申告している方も申請できるようになりました。

 

【給付対象者(追加分)】
・雇用契約によらずに業務委託契約等に基づく収入を主たる収入として、雑所得又は給与所得で確定申告をしている方

≪例≫
委任契約に基づき、音楽教室や学習塾の講師など『生徒を教える』という役割を委任されている。

請負契約に基づき、成果物を納品されているエンジニアやプログラマー、WEBデザイナー、イラストレーター、ライターなど。

業務委託契約に基づき、化粧品や飲料など特定取引先の商品を届け、集金する業務を委託されている。

 

【給付対象外】
・事業所得として申告している金額がある。

・被雇用者(会社等に雇用されているサラリーマン、パート、アルバイト、派遣、日雇い労働等)

・被扶養者の方(どなたかの扶養家族になっている)

・事業活動によらない収入(仮想通貨の売買など)

※少額の事業所得と多額の雑所得がある場合でも、この特例ではなく従来の制度で給付金を申請することになります。

 

【給付要件】
2019年の月平均の業務委託契約等収入と2020年1~12月の任意の月の収入とを比較して50%以上減少。

・雑所得や給与所得が主たる収入となっていること(不動産、利子、配当、年金より大きい)。ただし一時的な所得(譲渡、退職、一時)とは比較しなくてよい。

 

※収入にはコロナ対策で自治体等から受け取った休業支援金等は含まれません。

 

【給付額】
・S=A-B×12

・S=給付金。最大100万円
・A=2019年の年間業務委託契約等収入
・B=50%減少した月(対象月)の業務委託契約等収入

 

【必要書類】
・確定申告書第1表

・2020年の対象月の売上台帳等

・国民健康保険証の写し(雇用契約でないことの確認)

・通帳写し

・本人確認書類

・業務委託契約等収入を示す書類として次のグループからいずれか2つ
(ア)業務委託契約書等or持続化給付⾦業務委託契約等契約申⽴書
(イ)2019年分⽀払調書or源泉徴収票票or⽀払明細書
(ウ)通帳の写し

※なお、業務委託契約等に基づく収入を給与として受け取っているため確定申告義務がなく、申告していない場合は、税理士の確認を受けた「確定申告を要しないこと及び収入金額に係る申立書」を申告書の代わりに提出します。

 

 形式的な契約形態や申告の状況ではなく、実態に応じてフリーランスの方に給付しようという優しい制度ですが、実質を確認する分、要件や必要書類はやや複雑です。
スムーズに支給を受けるため、できれば税理士等に相談することをお勧めします。