家賃減免をした家主への支援策

posted by 2020.04.20

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 小売業やサービス業等において売上げが急減した場合に負担が大きいのが人件費や家賃などの固定費です。
人件費については「雇用調整助成金」で対応している会社が多いと思いますが、家賃については貸主と減額交渉をするところも増えています。
その場合、減額する側の貸主の経営も厳しくなることから、国土交通省から支援策が打ち出されています。

 

1.税金や社会保険料の1年間猶予

<概要>
 令和2年2月1日から令和3年1月31日までに納期限が到来する税金・社会保険料については、2月以降に月間収入が前年比2割以上減少した場合に1年間猶予されます(無担保・延滞税なし)

<補足>
 不動産の貸主の場合には、家賃を減額した場合だけでなく、家賃をそのままで支払を猶予している場合も、収入減少に該当します。

 

2.賃料免除額の損金算入

<概要>
 貸主がテナントの次の要件を満たす家賃の減免をした場合、その損害の額は寄付金にはならず、損金に算入されます。

・テナントの売上げが減少し、事業継続が困難、または困難となる見込み。
・賃料減額が復旧支援で、内容が書面で確認できる。
・賃料の減額が復旧期間内に行なわれたものである。

<補足>
 交渉の結果、減額した家賃が寄付金でないのは当たり前な気もしますが、念のため明示されています。
なお関係会社間における賃料減額は寄付金と言われやすいですが、コロナの影響の場合は通常時より損金になりやすいと思われます。

 

3.固定資産税の減免(補正予算成立後)

<概要>
 中小企業者の事業用建物の固定資産税と設備の償却資産税について、令和2年2~10月の任意の連続する3か月の収入が、前年比30%以上50%未満減少した場合には1/2、50%以上減少した場合には全額免除されます。

<補足>
 他業種にもある支援策ですが、不動産の貸主の場合には、家賃を減額した場合だけでなく、家賃をそのままで支払を猶予している場合も、収入減少に該当します。

 

4.他業種と同様の支援策

<概要>
 公庫や保証協会による資金繰り支援、持続化給付金(200又は100万円)等については他業種と同様に対象となります。

<補足>
 売上減少の要件は他業種と同じであるため、上記1~3のように猶予しているだけでは今のところ対象にならないと考えられます。

 

 家賃減額について、法律等で強制力を持たせるような話もありましたが、さすがにそこまではされず、資金繰り支援や税務上の取扱いでの対応となっています。
 通常の事業と違うのは、家主さんについては猶予している場合もいわば現金基準で”売上減少”と見てもらえる点です(上記4は除く)。
「回復したら払って下さい、〇月までは待ちますので」という合意であっても支援策は受けられるので交渉に応じやすいようにはなっています。