法人税の繰戻し還付①

posted by 2020.03.31

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 コロナ対策の一環で法人税の繰戻し還付の拡大が検討されています。

「法人税の繰戻し還付」とは黒字決算の翌年に赤字決算になった場合、赤字を前期に送って、前期分の法人税を取り返す仕組みです。
赤字を翌年以後の黒字と相殺する仕組みが「欠損金の繰越控除(最長10年間)」ですが、その逆で過去にさかのぼって払った法人税を取り返します。

 繰戻し還付を無制限に求めると税収が安定しないこともあるので、現行法では資本金1億円以下の法人に適用が限定されていますが、コロナ対策で中堅企業の資金繰りを支援する観点から、資本金10億円以下の法人まで適用を認める方向で検討されています。

 一般的には繰戻し還付の申告をすると税務調査が来ます。
設備投資時の消費税還付もそうですが、一度払ってもらった税金を還付する場合には税務調査に行って事実確認してから還付する、というのが国税庁の発想です。
しかし、今回のようなケースでは件数も多いですし、事情が事情だけに必ず税務調査をする、ということはないと考えられます。

 なお、この制度は”法人税の特例”なので地方税には適用がなく、というか制度そのものがないので、損失は翌期以降に繰り越して黒字と相殺していくことになります。

 

 繰戻し還付の見直しを含む緊急経済対策は4月に決定されるようですが、資本金1億円未満の会社に関しては今すぐでも使えるので、次回に内容をご紹介します。