法人税の繰戻し還付②

posted by 2020.04.1

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 昨日の続きで法人税の繰戻し還付について見ていきます。

 

<概要>
 赤字が出た場合に前期の黒字と相殺して、前期の法人税の還付を受ける制度。

 

<要件>
青色申告書を連続して提出していて、欠損事業年度は期限内に申告している。
・欠損金の繰戻し還付請求書を提出。

 なお、平成4年4月1日から令和4年3月31日までに終了する事業年度は運用が停止されていて使えませんが、次の例外があります。

① 解散した場合

 これは後ろに繰り越しても黒字と相殺できないことによる救済措置で、解散事業年度とその前の事業年度に生じた欠損金が対象です。

② 災害による欠損金がある場合

 災害は、地震や台風などの自然災害、爆発など人為災害、害虫など生物災害を指していて今回のコロナのような疫病は現段階では含まれません。
なお災害の場合は、前年だけでなく、前々年の法人税の還付を受けることもできます。

③ 中小企業者等の特例

 資本金1億円以下の法人は適用が可能です。ただし、大法人(資本金5億円以上)の完全子会社や公益法人等、協同組合等には適用はありません。
回のコロナ対策では、資本金1億円以下の部分を10億円以下に下げる方向です。

 

<還付額>

・前期の法人税額×赤字年度の欠損金額/前期の所得金額

 赤字の方が大きければ、前期の法人税全額が還付されることになります。

 

 赤字は10年繰り越すことができますが、取り戻すのに時間がかかります。
前期が黒字だったのに急激に業績悪化して赤字になった場合には、前期の法人税を取り戻すことで資金繰りの改善につなげることができます。

 なお、法人住民税には繰戻し還付の規定が存在しないため、通常どおり翌年以後に繰り越して控除を受けることになります。