消費税を払う時に1円未満の端数が出た場合には通常切り捨てられています。
例えば、税込100円のコーヒー(持ち帰り)であれば、税抜価格は93円。
93円 × 軽減税率8%=7.44円⇒7円
93円+7円=100円となります。
販売する側の観点では、預かった消費税は国に納めます。
先ほどの100円のコーヒーを108,000個売ったとします、
100円×108,000個=10,800,000円
税込1080万円の売上の場合、国に納める消費税は税込金額をベースに次のように計算します(簡便化のために仕入れや経費は0円)。
10,800,000円×8/108=800,000円
ここで消費者から預かった消費税との間に誤差が発生しています。
税込み100円のコーヒーに含まれる消費税は7円だったはず。
7円×108,000個=756,000円(▲44,000円)
1000万円ほどの売上で44,000円の差は小さいとは言えません。
このような場合に、756,000円の方を国に納める消費税にする特例が認められています。
「課税標準額に対する消費税額の計算の特例」と言われるもので、この特例を選択するには要件が2つあります。
・領収書で本体価格と消費税額が区分されていること。
・消費税額は税込価格の合計額に税率を掛けて、1円未満を端数処理していること。
特例で消費税が安くなる業種としては、単価が低く販売個数が多い業種、具体的にはコンビニやスーパーが該当します。
と、ここまで説明してきたものの「課税標準額に対する消費税額の計算の特例」は実は平成16年に廃止されています。
平成16年というと消費税の総額表示が義務化されたタイミングで、税込で総額表示して販売すれば誤差は発生しようがない、という理屈です。
しかし、総額表示に関しては増税との絡みで紆余曲折があり、税抜表示も一部では残っています。
そのため、「課税標準額に対する消費税額の計算の特例」も経過措置で生き残っているんですが、そのあたりは次回へ続きます。