コンビニと消費税 ②

posted by 2020.02.7

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 前回の続きでコンビニの消費税に関しての特例を見ていきます。

 ちょっと前に「セブンイレブンで100円のコーヒーを3つ買ったら301円になって混乱」というようなニュースがありました。

 ファミマで税込100円のコーヒーを3つ買えば当然300円で、そこに含まれる消費税は「300円×8/108(食品)=22円」でレシートにもそう表示されています。
 これがセブンだと税抜93円のコーヒーが3つで279円、そこに上乗せされる消費税は「279円×8%=22円」で消費税は同じですが、合計の支払額は「279円+22円=301円」となります。
 このように同じ値段のものを買っても税抜、税込のどちらからスタートするかによって結果は変わってきます。

 

 上記の例は支払額での差でしたが、事業者が納める消費税も前回見たように端数処理が積もり積もれば大きな差になるので、コンビニやスーパーのように単価が低く販売個数が多い業種では積み上げで計算した方が消費税は少なくなります。

 この「課税標準額に対する消費税額の計算の特例」平成16年の総額表示義務化で廃止されましたが、税抜処理も取引上は残っているため、経過措置として”当分の間”使えることになっています。
”当分の間”とは曖昧ですが、完全に廃止する方向だけれども実務への影響を見ながら時期をみて判断するので、それまではOKという意味です。

 

 経過措置を使うためには次のような要件があります。

① 税込の対消費者取引

・税込価格を前提として代金決済。

・受領ごとに税込価格の合計に「税率÷(100+税率)」を掛けて、1円未満を端数処理して領収書に明示

※単品ごとに端数処理をしている場合は対象外

 

② 税抜の対消費者取引

・本体価格と消費税額とに区分して受領。

・区分して受領する消費税は1円未満を端数処理。

 

③ 対事業者取引

・事業者間は総額表示義務がそもそもないので、1円未満で端数処理して、消費税が明示されていればOK。

 

 経過措置の要件はチェーン店のレジであれば通常満たしているので、コンビニやスーパーをしている事業者の方は、どの程度の節税になるか一度検討してみる価値はあります。