不動産の買換え制度 ⑦ 居住用の譲渡損

posted by 2019.11.21

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 不動産を売却して損が出た場合、昔は給与や事業など他の所得の黒字と相殺できたのですが、平成16年からは損益通算ができなくなりました
「不動産譲渡」「利子・配当」「給与・事業など」というように所得のジャンルが違うため、それぞれの中でしか損益通算できない、というのがその理由です。

 ただし、不動産の譲渡損にも例外があって、自宅を買い換えて損が出ている場合には損益通算ができます。
さらに損益通算をしてもさらに譲渡損が残った場合には、翌年以後3年間繰り越すことができます。

 

<譲渡資産>

・自分が住んでいる自宅建物、自宅建物とともに売る土地(借地権含む)

・過去の住んでいた家については住まなくなった日から3年後の年末までに売却(取り壊した場合は1年以内の売却、かつ貸駐車場などに使用していないことが要件)

・売った年1/1時点の所有期間が5年超(居住期間の要件はなし)

 

<買換資産>

・建物の床面積が50㎡以上

・住宅ローン(償還期間10年以上)で買っていること

・売った年の前年から翌年までの3年間に取得

・買った年の翌年末までに居住

・中古住宅の場合は、25年以内に建築または耐震基準を満たしていること(耐火建築物でない場合は取得期限までに耐震基準を満たせばOK)

 

<適用除外>

≪損益通算と繰越控除の両方≫

・配偶者、親子などの直系血族、生計一親族への売却

・売却年の前3年以内に自宅の譲渡損について買換えや損益通算の特例を使っている

・売却年の前年及び前々年に3000万円控除など他の特例の適用を受けている

≪繰越控除≫

・譲渡資産が500㎡超の場合の超える部分

・合計所得金額が3000万円超の年

 

<留意点>

・住宅ローン控除とは併用可能(譲渡益出て買換える場合は併用不可)

 

 適用除外のところがちょっとややこしいですが、通常2、3年以内に自宅を続けて売却することはないと思いますので引っ掛かるケースは限定的です。

 譲渡益が出た場合の買換えに比べると、所有期間が短い、譲渡額の上限がないなど損をしているだけに要件は緩めです。
増える要件としては「住宅ローンで買う」がありますが、損をして、かつローンを抱えた人を救済する目的があるため、このような規定になっています。