不動産の買換え制度 ⑥ 居住用

posted by 2019.11.20

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 事業用の買換えが一段落したので続いて居住用の買換えについて見ていきます。
制度の趣旨としては、事業用と似ていて、自宅を買換える際に旧自宅の売却益に課税されると買換資産の取得に支障が出るので、売却益を繰り延べるというものです。

 

<譲渡資産>

・自分が住んでいる自宅建物、自宅建物とともに売る土地(借地権含む)

過去に住んでいた家については住まなくなった日から3年後の年末までに売却(取り壊した場合は1年以内の売却、かつ貸駐車場などに使用していないことが要件)

・売却額が1億円以下

・売った年1/1時点の所有期間が10年超

・売った人の居住期間が10年以上

・配偶者、親子などの直系血族、生計一親族への売却でない

 

<買換資産>

・建物の床面積が50㎡以上、土地は500㎡以下

・売った年の前年から翌年までの3年間に取得

売った年の翌年末までに居住(取得が翌年の場合はさらにその翌年末)

・中古住宅の場合は、25年以内に建築または耐震基準を満たしていること(耐火建築物でない場合は取得期限までに耐震基準を満たせばOK)

 

<留意点>

・自宅を売却した場合の3000万円控除との選択適用

・3000万円控除とは共通する要件が多いですが、買換えの方が要件が厳しくなっています。

・3000万円控除は引いて終わりですが、買換えの場合はあくまで繰延べであり、買い換えた自宅を将来売却した際に課税されます。その意味では両方選べるのであれば3000万円控除が有利になることが多いです。

住宅ローン控除とも選択適用であるため、買換えを選択した場合とどちらが有利か申告前に検証する必要があります。

 

 今回は売却益が出た場合ですが、居住用であれば売却損が出る場合もよくあります。
売却損が出た場合の買換えについては次回へ続きます。