個人廃業時の消費税

posted by 2019.10.9

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 会計検査院の調査によると、個人事業者が廃業した際の消費税が4割で課税漏れになっているそうです。
会計検査院は行政機関をチェックするのが仕事なので、指摘されているのは納税者ではなく、国税庁です。
つまり、税務署も気づきにくい課税漏れということです。

 

 どういう内容かと言うと、商売をしている個人事業者が廃業すると車や家電製品など使えるものは個人として使い続けます。ということは廃業の時点で、事業用の資産を家事用に転用したことになり、消費税の課税対象になります。
個人事業主が事業用に買って、同じ個人が使い続けているだけなのに消費税が課税されるという認識は普通ないと思います。
ちなみに、個人が家事用に買ったものをあとで事業で使い始めた場合は、転用にならず、消費税は控除できません。

 

 なぜこんな規定になっているかというと、家事用資産の売却は消費税が非課税とされているためです。
例えば、携帯を機種変更する時に古い機種を下取りしてもらったり、家電製品をリサイクルショップに売ったりしても、商売としてやっているわけではないので消費税はかかりません。
となると、事業で使っていた資産を一旦家事用にしてから売れば消費税がかからないことになります。
このような課税逃れを防ぐために、事業用資産を家事用に転用した場合には、その時点の時価で消費税が課税されます。

 

 会計検査院の指摘を受けて、今後は税務署によるチェックが厳しくなりそうなので、廃業時や法人成りの際に消費税の申告が漏れないよう注意しましょう。