消費税の免税判定の8回目は「調整対象固定資産を取得した場合の原則課税3年強制」です。
いわゆる”自販機節税”からの還付逃げを防ぐために、平成22年4月に改正されました。
マンションを建築する際に多額の消費税を払いますが、建築後の売上げが居住用で消費税非課税であるため、控除ができず還付を受けることができません。
「課税売上げさえあればいいのに…」ということで一計を案じます。
① 建築中に工事現場に自動販売機を設置。
② 何もしなければ免税なので還付を受けるために課税事業者を選択。
③ マンション完成直後の消費税申告では売上げは自販機のみ。※1
④ 課税売上割合が100%なので全額消費税の控除が可能。
※1 売上げ
本来なら入居者からの家賃収入がありますが、それを0にすることもあります。サブリース業者に一棟貸しする場合は、数ヶ月はフリーレントにするのでその間の売上げは自販機しかありません。
また課税期間の短縮制度を使って、家賃収入が入る前で期間を切ってしまうことも可能です。
ここまでだと、前回の調整対象固定資産の3年平均に引っ掛かります。
1年目が課税売上げ100%によって還付になっても、3年目に10%になっていれば納付しないといけません。
「課税売上割合の著しい変動からどう逃げようか…」ということで一計を案じます。
⑤ 簡易課税選択届出書を提出。
⑥ 2年目は簡易課税で申告。売上げは自販機のみなので税額僅か。※2
⑦ 課税事業者選択不適用届出書を提出。※3
⑧ 3年目は免税事業者なので申告なし。※2
※2 簡易課税と著しい変動
課税売上割合が著しく変動した場合の調整は原則課税の時しか行われないので簡易課税や免税であれば調整計算による納付はありません。
※3 課税事業者選択の取りやめ
還付直後に免税事業者になりたいところですが、一度課税事業者を選択すると2年間は課税で申告しないといけません。すぐに免税にできないので2年目は簡易課税でしのいで3年目に免税にします。
ということで自販機を設置するだけで、本来受けられない還付を1000万円単位で受けられたのでさすがに問題になりました。
改正によって2年目3年目は免税にすることも簡易課税にすることもできないこととされました。
原則課税が続くことで3年目には課税売上割合の著しい変動に引っ掛かり、還付の効果が大幅に削られます。
ただしこの規制にもまだ抜け道があるのでさらに改正されることになります。
(つづく)