消費税の納税義務者 ⑦ 調整対象固定資産

posted by 2019.06.25

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 消費税の免税判定の7回目は調整対象固定資産の取得です。
ちょっと免税判定からは脱線しますが、8回目には元の道に戻ります。

 

 固定資産の取得に関しては動く消費税も大きいだけに節税に使われることも多いです。
固定資産に関わる3つの規制のうち、今回は『調整対象固定資産に係る仕入税額控除の調整』です。
これは3年でならして固定資産に係る消費税の控除を適正化する仕組みですが、固定資産のうち、調整対象となるのは次のようなものです。

・建物、附属設備、構築物、機械装置、船舶、航空機、車両運搬具、工具、器具備品、鉱業権等

・金額は税抜き100万円以上

・棚卸資産は除く。

 

 そして次のような場合に調整が必要となります。

<課税売上割合が著しく変動した場合>

 消費税は受け取った消費税から払った消費税を控除しますが、払った消費税全てが控除できるわけでありません。
課税売上げに対応する分だけが控除できるので、医療のように非課税売上げしかない場合には消費税の控除ができません。
 売上げ全体のうちに課税売上げが占める割合を”課税売上割合”と言いますが、固定資産を購入した年と3年平均の課税売上割合の差が大きい場合に、3年目の消費税を調整します。
控除し過ぎていた場合には3年目の消費税が増え、控除が少なかった場合には3年目の消費税が減ります。

 

<転用した場合>

 非課税売上げに対応する消費税は控除できないのですが、当初は非課税売上げに対応するものであっても、課税売上げに対応するものに変更されることがあります。例えば居住用マンションだったものを事務所用に変更するような場合です。このような場合に仕入れた年から3年以内の転用であれば、消費税の控除が増えて還付になり、逆に課税から非課税に転用した場合には支払う消費税が増加します。

 

 なお、これらの調整が必要なのは課税売上割合を使って消費税を控除している場合に限られます。具体的には一括比例配分方式や個別対応方式のうち共通売上げ対応の按分を行なっている場合です。
したがって課税売上割合が95%以上で、かつ課税売上高が5億円未満であれば全額控除できているので調整は必要ありません。

 

 3年以内の転用はまだ分かりますが、課税売上割合の著しい変動は3年後に平均を取らないと分からないので見逃しがちです。
課税売上割合が95%未満の場合はチェックする習慣をつけておきましょう。

(つづく)