消費税の納税義務者 ⑨ 高額特定資産(1000万円以上)

posted by 2019.06.27

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 消費税の免税判定の9回目は「高額特定資産を取得した場合の原則課税3年強制」です。
前回の調整対象固定資産の改正でもまだ抜け道があったため、それを防ぐため、さらに平成28年4月に改正が行われました。
前回の還付は”狙った”感じがありましたが、今回の場合は普通に商売してる人まで巻き込まれるので注意が必要です。

 

<調整対象固定資産の抜け穴>

・固定資産としてではなく建物を棚卸資産として仕入れる

・課税事業者届出書を提出して課税が2年強制された後に固定資産取得。

・資本金1000万円以上で設立し、2年経過後に固定資産取得。

・特定期間の売上げと給料を1000万円超にして固定資産取得。

 前回の改正は還付を受けるためにわざわざ法人を設立する場合を想定していたのですが、それだとほとぼりが冷めてから固定資産を購入して還付を受ける例があったため、今回の改正となりました。

 

<要件>

税抜き1000万円以上の調整対象固定資産又は棚卸資産を取得。

・原則課税で消費税を計算(還付を受けてなくても該当)。

・自社で建設する場合は原価が累計1000万円以上になった場合

 

<規制>

・3年間は原則課税が強制され、免税も簡易課税も選択不可。

・自社建設の場合は原価が1000万円以上となった翌事業年度から完成事業年度+2年まで原則課税強制。

 

 原則課税で1000万円以上のものを買う、というシンプルな要件であるため、普通に商売してても簡単に引っ掛かります。
基準期間の課税売上げが5000万円超でどっちみち原則課税の場合は影響ありませんが、原則で還付を受けたあとすぐに簡易に戻そうと思っている場合はそれができなくなります。
不動産業で建築する場合や製造業で機械を買う場合などは、3年トータルの消費税をシミュレーションしてどちらが有利かを判断する必要があります。

(つづく?)