個人事業者の事業承継をスムーズにするための個人版事業承継税制が今年から始まり、実際の申請が4月からスタートしています。
今まで法人版しかなかったのですが、後継者問題、事業承継問題は待ったなしの喫緊の課題であるため、期間限定で個人版も創設されました。
使える制度なのかどうか内容を確認していきます。
<概要>
後継者である受贈者・認定相続人が、平成31年1月1日から令和10年12月31日までの間に、贈与・相続により事業用資産を取得し、事業継続する場合には、特定事業用資産に対応する贈与税・相続税の納税が猶予されます。
<人的要件>
・受贈者・相続人(複数OK)は20歳以上、3年以上事業(他社OK)に従事、贈与・相続後に青色申告の承認を受けていること等。
・贈与者・被相続人は贈与・相続前に青色申告であること、贈与時に廃業すること等。
<特定事業用資産>
・土地(面積400㎡を上限)
・建物(床面積800㎡を上限)
・建物以外の事業用の減価償却資産(固定資産税又は自動車税等の課税対象となっているものに限る)
・特許権等の無形固定資産
※不動産貸付業用は除かれます。
※生計一親族の所有資産も対象。
<小規模宅地等の評価減との関係>
特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の評価減とのW適用は不可。
<手続き>
① 承継計画を平成31年4月1日から令和6年3月31日までの間に都道府県に提出して確認を受ける。
② 平成31年1月1日から令和10年12月31日までの間に贈与・相続、都道府県の認定を受け、贈与税・相続税を申告(担保提供必要)。
③ 3年ごとに継続届出書を税務署に提出。
④ 受贈者・相続人が死亡等、5年経過後にさらに事業承継した場合に猶予税額を免除。
期間限定である点が特徴で、少なくとも令和6年3月31日までに承継計画を提出し、令和10年12月31日まで贈与か相続をして、先代は事業を廃止することが条件となります。
廃止と言ってもメインの事業主が変わってさえいれば、後継者を手伝いながらサポートすることは可能です。
小規模宅地等の選択制であるため、どの程度の税効果があるか検証した上で事業承継税制を使うかどうかを決めていくことになります。
ちなみに上記の内容は、法人版の新しい事業承継税制とそっくりなので、次回は法人版も確認しておきます。