決算賞与の注意点

posted by 2019.04.25

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 業績が予想より良かった会社では決算賞与の支給を検討することがあります。
決算賞与は例えば4月決算であれば4月中に支払うことが原則ですが、未払であっても条件付きで経費にすることができます。

 

<原則> 支払日の属する事業年度

 

<例外1> 夏期冬期賞与:支給予定日と通知日のいずれか遅い日の属する事業年度

≪要件≫
・就業規則等で定められた支給日が決算期内に到来

・従業員に支給額を通知

・支給予定日又は通知日の属する事業年度に損金経理

 

<例外2> 決算賞与:通知日の属する事業年度

≪要件≫
・支給額を全ての従業員に決算期末までに個別に通知

・決算期末から1ヶ月以内に支給

・通知日の属する事業年度に損金経理

 

 これだけではちょっと分かりにくいので補足すると、例外1は7月決算の会社で、元々就業規則や賃金規定で7月に賞与を出すことになっていて、通知はしたけど支払だけ8月になったようなケースです。

 いわゆる決算賞与は例外2の方です。
4月決算であれば5月末までに支給すればいいので、4月で締めて業績の速報を見てから決算賞与額を決めたいところですが、それでは4月末に通知できていないので経費になりません。

 では”通知”とはどのようなものを言うのでしょうか。
4月決算を例に見ていきます。

:4月末までに個別に文書やメールで支給額を知らせる。

:4月末までに口頭で支給額を知らせる。

:「基本給×3ヶ月分」支給することを掲示板で知らせる

:「基本給×3ヶ月分×業績割合(後日判明)」支給することを掲示板で知らせる。

:算式が公表されていて目標を達成した従業員は自分で4月末に計算できる。

 実際の調査では、明細の提示を求められることはたまにありますが、実際に通知されたどうかは従業員本人に聞かないと分からないので、そこまで追求されることはあまりありません。
ただ裁決事例では明細が後付けされたとして否認された事例もあるので、本人のハンコをもらっておいたり、メールを残しておいて証拠とするのがよりベターと言えます。

 

 なお注意点として就業規則等に「支給日在職基準」があるかどうかがあります。
賞与支給日前に退職した場合には支給しない旨を定めておくことはよくあるのですが、その場合は税務上は経費にできません
決算日までに通知した以上、その後1ヶ月以内にやめたとしても支給するよう規定に書いておかないと債務として確定したと認められません。
就業規則等を改めて確認していただいて、せめて決算賞与の場合だけでも支給日在職基準を外しておきましょう。