所有者不明土地の売却

posted by 2019.04.26

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 誰のものか分からない”所有者不明土地”の増加が社会問題となっています。

 所有者不明土地とは長らく登記が放置されていて実際の所有者が分からない状態の土地を言い、九州の面積を超える410万ヘクタールに上ると言われています。
価値のない山奥の土地のイメージがありますが、都市部にも多く、防災上の障害になっています。

 そこで所有者不明土地の利用や管理を進めるための「所有者不明土地法」が制定され、令和元年6月1日から全面施行されます。
内容としては、公共事業による収用ができたり、地域住民の利便性向上につながる場合には10年間の利用権が設定できるようになります。

 

 税務においても所有者不明土地法に対応する改正が行われています。

1.収用の5000万円控除

 所有者不明土地法に基づいて土地が収用された場合には、収用の5000万円控除が適用できます。

2.譲渡の軽減税率

 確知所有者(共有持ち分が所有者不明だが所有者が判明している部分)の持分や所有者不明土地の隣地の売却があった場合には、2000万円までの部分の税率が20%から14%に軽減されます(令和元年12月31日まで)。

3.固定資産税

 所有者不明土地を使用する地域福利増進事業により整備する土地や償却資産について、固定資産税等の課税標準が5年間2/3に軽減されます。

4.適用時期

 1、2については令和元年6月1日以後の売却について適用されます。
3の固定資産税については令和元年6月1日から3年3月31日までの間に事業共用された場合に適用があります。

 

 手続きに時間はかかりそうですが、長年塩漬けだった所有者不明土地の活用が進む可能性があり、その場合は税務上の特例があることを覚えておきましょう。