消費税の控除の仕組み②

posted by 2019.02.27

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 昨日の続きで消費税の控除の仕組みについて見ていきます。

 まずはおさらいから。

 

<原則:個別対応方式>

 払った消費税が控除できるかは、対応する売上げが課税なのか、非課税なのか、あるいは両方にかかるのかを分けて判断します。

・課税売上対応の課税仕入れ :全額控除OK
・非課税売上対応の課税仕入れ:全額控除NG
・共通対応の課税仕入れ   :課税売上割合で按分して控除

 

<例外①:95%ルール>

「うちは普通の商売で課税売上しかないし、賃貸マンションを持ってるわけでもないし、関係ないわ」

と思われがちですが、そうとも限りません。
銀行の利息を受け取れば非課税売上ですし、従業員さんから社宅家賃を受け取っても非課税売上です。

それを1つ1つ分けていくのは大変なので、課税売上の割合が95%以上であれば、ほぼ100%に近いので控除してOKとされています。

 

<例外②:95%以上でもダメ>

 例外①で5%の誤差はOKだったのですが、規模が大きい会社は経理能力もあるだろうということで5%の誤差も認められていません。
具体的にはその課税期間(基準期間ではありません)の課税売上高が5億円超であれば95%ルールは適用されず、原則通り、課税仕入れを「課税売上対応」「非課税売上対応」「共通対応」に分ける必要があります。

 

<例外③:一括比例配分方式>

 原則のように仕入れを3種類に分けず、全てを課税売上と非課税売上に共通して要する課税仕入れとする方法です。
全ての仕入れに課税売上割合をかけて計算します。
原則の個別対応方式と比べて有利な方を選べますが、一括比例配分方式を一旦選ぶと2年は続ける必要があります。

 

 どの方法が選べるか整理しておきます。

・課税売上高5億円以下 かつ 課税売上割合95%未満:例外1(全額控除)又は 例外3(一括比例)

・課税売上高5億円超:例外2=原則(個別対応)又は 例外3(一括比例)

・課税売上割合95%未満:原則(個別対応)又は 例外3(一括比例)

 一括比例配分方式との比較は常にありますが、非課税売上に対応する仕入れが多ければ、一括比例が有利になります。

 

 ここまでの基礎知識を踏まえて、税務調査での事例を次回ご紹介します。