来年1月から贈与税が2つの点でガラッと変わります。
① 暦年課税の加算期間延長
② 相続時精算課税の基礎控除創設
従来は亡くなる前3年間の贈与を相続財産に加算していたのですが、①の改正で7年に延びることになったので贈与による節税効果が薄まります(増税)。
一方、相続時精算課税は一度選ぶと何年前の贈与であっても相続財産に加算する必要があります。
根本的な相続対策にならない、下落リスクがある、少額の贈与でも申告しないといけないといった理由で精算課税は不人気で、使っている人は暦年課税の1割以下でした。
税務署としては贈与による節税をして欲しくない、贈与や相続の時期に関わらず同じ税金にしたいという考えがあるので、将来的には精算課税に一本化していきたいようです。
そこで精算課税のネックである、少額の贈与でも申告しないといけない点や暦年課税に戻れない点の解決策として基礎控除を創設しています(減税)。
<精算課税の基礎控除のポイント>
・年間110万円までの贈与は申告不要
・相続時に加算なし(暦年課税では7年前から加算なのに精算課税だと直前でも加算不要)
<精算課税の手続き>
・110万円以下で申告不要であっても初年度のみ「相続時精算課税選択届出書」の提出が必要(翌年3/15まで)
・旧制度の精算課税を使っていれば届出不要で基礎控除の枠が使える
精算課税の基礎控除部分は相続税も贈与税も無税なので、税務署としては精算課税に誘導するための大サービスと言えます、
ただ年110万円では節税効果としては知れています。
そのため、比較的若い方であれば従来の暦年課税を使った方が加算分を考慮しても節税になるかも知れません。
また従来の精算課税のメリットは変わらず、基礎控除分が減税になります。
従来の精算課税を使う場面としては次のようなパターンがあります。
・相続時に加算されたとしても金額的に相続税がかからない。
・税金云々ではなく生前に確実に財産を移転したい理由がある。
・株式や不動産で値上がりの可能性が高い、あるいは今後の収益を贈与により移転できる。
相続の時期は読めないですし、時価が上がるか下がるかの予想も難しいだけにどっちが有利とは言い切れず、ケースバイケースで対応していくことになりそうです。