年末調整の電子化

posted by 2021.12.7

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 年末調整については、ほぼ改正なしで既に今年分の解説をしましたが、少しだけ改正がありました(税金には影響なし)。

・押印義務の廃止(各種申告書に従業員及び会社のハンコが不要に)

・年末調整の電子化の緩和(税務署長の承認が不要に)

今年分の年末調整は絶賛進行中だと思いますので、今から電子化するのは難しいですが来年以降のために概要をご紹介します。

 

1.従来の年末調整

① 従業員:保険会社から控除証明等が郵便で到着(10~11月頃)

② 従業員:扶養控除等申告書に手書きで記入・押印して、①の原本と共に会社へ提出

③ 会 社:②の内容を確認して、給与ソフトに入力

④ 会 社:年内最後の給料で還付

 

2.電子化した年末調整(スマホを利用する場合)

① 従業員ナンバーカードを取得

② 従業員マイナポータルアプリをダウンロードし、「eー私書箱」と連携

③ 従業員e-私書箱と保険会社のデータを連携

④ 従業員年調ソフト(年末調整に係る控除申告書作成アプリ)をダウンロード

⑤ 従業員年調ソフトで③のデータを集約

⑥ 従業員扶養家族など保険以外の各種情報も入力して、データを会社へ提出

⑦ 会 社給与ソフトに⑥のデータを取り込み

⑧ 会 社:年内最後の給料で還付

見ていただくと分かりますが、従業員の方にやっていただくことが増えます。
なお、①~③は一度連携すれば来年以降の作業はありません。

 

3.電子化のメリット

<従業員>

・控除証明書を紛失、再発行するリスクがない。

・控除証明書から申告書への転記や計算が不要

<会 社>

・控除証明書との突合作業や検算が不要

・データであるため、書類保存コストが不要

 

4.注意点

・お使いの給与ソフトが電子化や年調ソフトとの連携に対応しているかの確認が必要です。

・マイナンバーカードの取得とマイナポータルへの登録が大前提です。

・マイナポータル上での登録や連携には時間がかかるので早めに従業員の方に取り掛かってもらう必要があります。

 

 今回、記事を書くにあたってマイナポータル連携や年調ソフトへの取り込みをやってみましたが、かなり苦戦しました。
正直、メリットと手間のバランスが合っていません。
来年はもう少し利便性を高めてもらわないと普及への道のりは遠いように感じます。