会社をほっとくとどうなる!?の3回目は登記です。
会社名や所在地など会社の重要な情報は登記の対象ですが、役員もその1つ。
役員の任期は株主会社の場合、取締役2年、監査役4年が原則ですが最長10年まで伸ばすことができます。
役員の任期は会社で管理するものなので、法務局がそろそろ任期満了ですよ、と案内してくれるわけではありません。
したがって会社をほっといて任期が過ぎてもすぐに何かが起こるわけではありません。
そのため放置される会社も多かったことから、法律が改正され、平成26年から「みなし解散」の制度が運用されています。
どういう制度から言うと、12年放置されている会社に通知をして、それでも反応がなければ強制的に解散させられます。
毎年10月頃に通知があるのですが、次の内容で公告もされています。
「最後の登記をしてから12年を経過している株式会社、又は最後の登記をしてから5年を経過している一般社団法人若しくは一般財団法人※は、事業を廃止していない場合には、『まだ事業を廃止していない』旨の届出を管轄登記所にする必要があります。」
※一般社団法人や一般財団法人の役員任期は最長2年であるため、みなし解散までの年数も5年と短くなっています。
「公告の日から2か月以内(令和3年12月14日(火)まで)に『まだ事業を廃止していない』旨の届出がなく、また、必要な登記(役員変更等)の申請もされないときは、令和3年12月15日(水)付けで解散したものとみなされます。」
みなし解散は職権での解散であるため、登記費用はかかりません。
無料で解散登記してくれるならちょうどいいわ、とはなりません。
しっかり罰金がかかります。
役員の登記を怠っていると会社法違反になるのですが、内容によって罰金は変わります。
<登記懈怠>(とうきけたい)
・役員が変更されたのに登記していない状態。なお役員に変更のない重任でも登記は必要です。
・例えば令和2年12月に追加された人を令和3年12月に登記すると1年遅れとなります。登記をした段階で遅れていたことが確定します。
・過料(罰金)は法律上の上限は100万円、実際は2~3万円。金額は裁判官が決定するので税法のように法律上決まっているわけではありません。
・罰金の書類は裁判所から社長の自宅に突然届きます。
・罰金は会社の経費になりません。
<選任懈怠>
・役員の任期が過ぎたのに選ばれていない状態。
・例えば最長の任期である10年を過ぎても役員登記がされていない場合が該当します。
・過料の法律上の上限は100万円、実際は1年あたり2~4万円程度。
・郵便が社長自宅に届く点、経費にならない点は上記と同じです。
これを踏まえて、みなし解散の話に戻ります。
みなし解散の時点では登記せずに12年放置されていることになるので、後者の選任懈怠に該当し、2万円×12年=24万円かかっているケースもあります。
みなし解散の通知が届いて、事業継続しない場合でも少なくとも12月14日までに役員登記をするようにしましょう。
そうすることで選任懈怠ではなく、登記懈怠扱いになり、罰金は大幅に少なくなります。
なお有限会社(特例有限会社)や合同会社の役員には任期がありませんので、みなし解散の制度がなく、選任懈怠による過料もありません。