法人税の調査事績(令和2年)

posted by 2021.12.8

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 令和2事務年度(令和2年7月~令和3年6月)の法人税・消費税の調査事績が公表されています。

 全体の件数が減っている中で、消費税の不正還付、海外取引、無申告法人については重点的に調査が行われています。

脱税の事例も含めて内容を確認していきます。

 

1.調査事績

① 件数(令和1⇒令和2)
・実地調査 :7万6千件⇒2万5千件
・簡易な接触:4万4千件⇒6万8千件(電話、書面、税務署での面接)

② 追徴税額(1件あたり)
・実地調査 :314万円⇒781万円(法人税、消費税計)

③ 修正(法人税)
・非違割合 :75%⇒80%
・不正割合 :22%⇒27%(重加算税対象)

④ 不正発見割合の多い5業種
・バー・クラブ(53.7%)、外国料理(52.0%)、美容(37.5%)、医療保健(36.7%)、生鮮魚介そう卸売(36.2%)

 

2.脱税事例

① 免税店制度の悪用(消費税)

会社:免税販売の許可を受けているドラッグストア
手口旅行者のパスポートを集めて免税販売したように装って還付請求
追徴:4500万円

② 密輸した宝石の課税仕入れ(消費税)

会社:貴金属販売
手口手荷物で持ち込んだ宝石を国内仕入れと偽装して消費税控除
追徴:400万円

③ 海外での売上除外をCRSで把握(法人税)

会社:製造業
手口海外グループ法人からの売上げを海外個人口座に入金して除外←CRS(海外の税務当局との情報交換)により発覚
追徴:3300万円

④ 借名取引(法人税)

会社:日用雑貨品販売
手口取引先に依頼して別法人の口座で取引して無申告
追徴:7000万円

⑤ 売上書類の破棄(法人税)

会社:接待を伴う飲食業
手口売上書類を破棄して取引を隠蔽←SNS、口コミ、来店、口座の動きから営業状況と所得を把握
追徴:7000万円

 

 コロナ発生後に調査件数は減りましたが、その分調査対象を厳選しており、1件あたりの追徴税額は大幅に増えています。
油断せずにいつも通りの正しい処理を心がけましょう。