押印不要とマイナンバー

posted by 2021.05.10

 令和3年4月以降、各種申告書への押印が不要になっています。

 

 例外は今まで実印と印鑑証明が必要だった担保提供などの書類で、これらは登記も絡んでくるので今後も従来と同様に押印が必要です。

 少し特殊なのが相続税の申告書です。
相続税の申告書は原則として各相続人が個別に申告することになっていますが、実際は各相続人が共同で申告するケースが多いです。
財産の合計を集計してそれを分けるので元の数字が同じでないとおかしいですし、各種特例を誰が利用するかという問題もあるためです。
ところが仲が良くない場合などに税理士も別々に頼んで申告書を別々に提出することがあります。
この場合、別で提出する人の部分は名前と金額だけ入れて、ハンコの押印はない状態で従来は申告していました。
ところが押印不要になると区別がつかなくなるので、違う形で目印をつけておく必要があります。
税務署から出ている書き方では、別で提出する人の欄は斜めの線で消して、マイナンバーの欄も空白にすることとされています。

TA3653p28

 

 ちなみにマイナンバーですが、平成28年分から申告書への記入が義務化されているのでもう5年になります。

 国税庁の資料によると約83%でマイナンバーが記載されています。
17%は未記入ですが、今まで書くように連絡を受けたことはないですし、特に罰則もありません。
国税庁としては書いていなくてもマイナンバーを照会して把握することはできるので書いてなくてもさほど困らないのかも知れません。

 

 マイナンバーカードの普及率はポイント還元策もあり、多少増えて30%弱となっています(2021年4月現在)。
健康保険証としての利用(令和3年10月~)、給付金受取口座の登録(令和4年予定)、預金口座との紐付けによる相続手続きの簡便化(令和6年予定)など目に見える利便性の向上があれば普及率も上がると思われますが、まだまだ時間がかかりそうです。