時価と路線価

posted by 2020.11.2

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 前回の続きで路線価を使わない場合の評価について見ていきます。

 そもそも相続税や贈与税を計算する際に財産はどう評価するものなんでしょうか。
条文では、相続税法22条に次のように書いてあります。

「特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により…」

 「時価」というと寿司屋の高級食材みたいですが、客観的に求めるのが難しい面があります。
土地に関して言うと、早く売りたければ値段を下げるでしょうし、”隣の土地は3倍出しても買え”なんて格言?もあったりします。
また人によって財産の評価が異なると『課税の公平』の観点から好ましくないので、国税庁では財産評価基本通達(以下「財基通」)を定め、時価を次のように定義しています。

「課税時期において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、この通達の定めによって評価した価額による」

 

 とは言え、財基通は法律ではなくあくまで国税庁内での指示に過ぎないだけに、納税者と国税庁の間で”時価”についての争いも多いです。
その積み上げにより、現在では”時価””財基通”の関係は次のように整理されます。

① 時価=客観的交換価値

② 財基通は課税の公平の見地から定められた画一的な評価方法であり、合理的で時価を超えていなけれが適法

③ ②から全ての納税者が原則として財基通で評価すべき

④ ただし特別の事情があれば、別の合理的な評価方法も可能

 

 財産には個別性が強く、財基通も万能ではないだけに、④の考え方もあります。
では”特別の事情”とか”別の合理的な評価方法”とは何を指すのでしょうか。
財産評価をする際に、不動産鑑定士さんに鑑定評価書を作成してもらうこともありますが、これは”別の合理的な評価方法”に該当するのでしょうか。

 

 そのあたりは次回へ続きます。