飛び飛びになってますが、前回の続きで路線価を使わない土地の評価について見ていきます。
原則は財産評価基本通達に基づく路線価評価ですが、特別な事情があれば別の合理的な評価方法で求めた時価も認められます。
例えば、路線価で1億円で評価した土地が、申告期限(10か月以内)までに売ったら8000万円だったとします。
8000万円でしか売れないものを1億円として相続税を払うのはさすがに納得いかない、というのが普通だと思います。
では単純にこれが認められるかというといくつかハードルがあります。
<客観的な時価かどうか>
財基通において”時価”は「不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額」と定義されています。
したがって、税金を払うために安くてもすぐに売りたいというような”売り急ぎ”や隣りだからどうしても買いたいというような”買い進み”があった場合には客観的な時価の要件を満たしません。
<時点修正>
相続税は亡くなった瞬間の時価で評価しますが、8か月後に売却した場合の売値を採用するとなると時期的なずれが生じます。
そこでそのずれを修正する必要があります。
方法としては似たような状況にある土地の売買事例を探してきて、1年で公示価格等がどれぐらい変動しているかを調べます。
1年で3%下がっているとすると8か月では2%になるので、8000万円÷(1-2%)≒8163万円となります。
このようなハードルをクリアすれば路線価を使わない時価による評価が認められることになりますが、情報収集を含めて難しい面があるので、不動産鑑定士さんにサポートしてもらうなどして対応することになります。
路線価より売れた値段が低かったのは一例ですが、これ以外にも”特別な事情”により時価が低いと申告した事例、逆に路線価で評価したのに税務署から低すぎると指摘された事例などこれまでにも様々な論点で争われています。
過去に裁判や裁決で争われた事例については次回見ていきます。