平成31年度税制改正大綱 ⑤ 資産税編

posted by 2018.12.21

koujou_kikai_sousa

 税制改正大綱5回目は資産課税(相続税・贈与税)です。

 

(1)個人事業者の事業承継税制創設

<概要>
 個人事業者の事業承継を促進するために10年限定で相続税・贈与税の納税猶予制度が創設されます。
対象資産は土地(~400㎡)、建物(~800㎡)、機械や自動車といった減価償却資産などでこれらに係る相続税・贈与税の100%が5年間の事業継続を要件に猶予されます。
既にある株式の納税猶予制度と似た作りで、事業承継計画をH31.4.1~H36.3.31までに都道府県に提出しておく必要があります。
なお既存の特定事業用宅地等の小規模宅地等の特例とは選択制になります。

<適用時期>
 平成31年1月1日から平成40年12月31日までの相続・贈与

 

(2)特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例の厳格化

<概要>
 事業用の宅地を相続した場合には400㎡までが8割減されますが、対象土地から相続開始年3年以内に事業の用に供されたものが除かれます。
これは亡くなる直前に事業に使った体にして8割減するのを防ぐための措置です。
ただし宅地上で使われている建物や機械などの事業用資産の時価が土地の時価の15%以上である場合には、相応の事業が営まれていると判断し、3年以内であってもOKです。

<適用時期>
 平成31年4月1日以後の相続

 

 個人事業者の事業承継税制については、土地以外の建物や機械が多額である場合には効果的な制度です。
小規模宅地等の特例との選択制で、小規模宅地等の特例は申告期限まで事業継続していれば8割減で確定しますが、事業承継税制は5年間継続で猶予で、さらに原則的には次の相続まで継続してやっと免除が確定します。
その意味では事業用の土地がメインの相続財産であれば従来の小規模宅地等の特例の方が選びやすいかも知れません。

 

 教育資金贈与の見直しや配偶者居住権の評価については次回へ続きます。