平成31年度税制改正大綱 ④ 個人所得課税編

posted by 2018.12.20

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 税制改正大綱4回目は個人所得課税(所得税・住民税)です。
最も大きい項目は住宅ローン控除の3年延長ですが、消費税対策のところで取り上げたのでそれ以外を見ていきます。

 

(1)空き家の3000万円控除の拡大

<概要>
 空き家に係る譲渡所得の3000万円控除の特例とは空き家問題の解決のために設けられた制度です。
要件は細かくありますが、分かりやすいように典型例で言うと「亡くなった親が一人で住んでいた昭和56年5月31日以前建築の家を耐震リフォームするか取り壊して、使わずに3年以内に売る」というケースが該当し、売却益から3000万円を控除できます

要件のうち、「亡くなるまで住んでいた」という要件が緩和され、要介護認定等を受けて老人ホーム等に入っていた場合も住んでいたと扱うこととなりました。

<適用時期>
 平成31年4月1日以後の売却から。

 

(2)森林環境税及び森林環境譲与税の創設

<概要>
 温暖化防止や災害対策の観点から森林資源を適切に管理する必要があり、それを担う市町村の財源確保のために創設されたのが「森林環境税」で、内容自体は去年の税制改正大綱で決まっていました。
森林環境税は9割を市町村、1割を都道府県に割り振るのですが、この割り振る税金が「森林環境譲与税」です。

<適用時期>
 森林環境税は平成36年度から1人当たり1000円かかり、森林環境譲与税は平成31年度から先に始まります。
5年間ずれているため、国は収入がないのに地方に割り振ることになります。その財源は特別会計からの借り入れで賄われます。

 

(3)ふるさと納税の厳格化

<概要>
 これまでは総務省の指導という形でしたが、強制力がなく不公平があったことから基準を満たさない場合は、控除対象から外せることとなりました。
主な基準は、募集を適正に実施し、返戻割合を3割以下に抑えて、返戻品は地場産品とすることです。

<適用時期>
 平成31年6月1日以後の寄附から。

 

(4)その他

・ジュニアNISAの年齢要件を20歳未満から18歳未満に引き下げ≪平成35年から≫

・今回導入された未婚の父母への給付金は所得税非課税。また未婚の父母を個人住民税の非課税措置の対象にも含める(合計所得金額135万円以下)≪平成33年分以後の住民税から≫

・確定申告での添付書類が紙の申告でも省略可に(源泉徴収票、配当通知書、特定口座年間取引報告書など)≪平成31年分の申告から≫

 

 細々とした改正はありますが、ふるさと納税の厳格化が一般の方には影響が大きいのかも知れません。