事業所得と雑所得の違い

posted by 2018.10.16

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 前回、馬券購入の判例で「事業所得」「雑所得」について確認しました。
簡単におさらいしておくと次のような要件を満たすと「事業所得」に該当します。

・営利性、有償性、継続性、反復性がある
・リスクをとって自己の計算で活動している
・精神的、肉体的に労力を費やしている
・人的、物的に投資している
・生活できるだけの安定収益を得られる可能性がある
・生活状況(生活の糧かどうか)
・職業や社会的地位(社会通念上の判断)

 ちょっとした副業ではダメでそれなりのリスクや規模を伴う必要があります。

 では事業所得に該当すればどんなメリットがあるのでしょうか。
税務署に開設届や青色申告承認申請書を提出している前提で見ていきます。

 

① 損益通算

事業所得でマイナスが出た場合には給与所得のプラスと通算できるので、たまたま赤字になった場合は所得税を軽減できます。
雑所得のマイナスは家事費(個人的な損失)となるため損益通算できません。

また1年で使い切れない損失は翌年以後3年間繰り越すこともできます(純損失の繰越控除)

 

② 青色申告特別控除

少なくとも10万円、帳簿をきちっとつければ65万円を利益から控除できます。
いわば領収書のいらない経費なので個人にとっては節税効果は大きいです。

 

③ 青色事業専従者給与

生計一親族(財布が同じ身内)には原則として給料は出せませんが、届出をすることにより給料を出すことができます
この規定は配偶者によく使われますが、生計一親族であれば使えます。

 

④ 少額減価償却資産の特例

備品などの投資は10万円未満までしか経費にできないのが原則ですが、中小企業者の場合は30万円未満のものまで経費にできます
中小企業者は個人の場合、従業員1000人以下が条件なので普通は該当します。
投資額には上限があり、年間累計300万円が限度となります。

 

 どれもよく使う規定なので「事業所得」「雑所得」で税務上大きな違いがあります。
副業の比率が大きくなってきた場合は「事業所得」にできないか要件を1つずつチェックして特典を活用していきましょう。