将来を想像するとゾッとするニュースが出ていました。
会計検査院が個人が家業を継承した場合の消費税の課税漏れを指摘しているというニュースです。
よく読んでみると現行法では問題ないけど制度の趣旨とは違うというのが会計検査院の指摘です。
順番に見ていきます。
① 消費税の免税事業者
基準期間(2年前)の課税売上げが1000万円以下であれば消費税の納税義務が免除されます。したがって開業から2年間は基本的に免税です。
② 相続があった場合の特例
相続で事業を引き継いだ場合は先代の2年前の課税売上げが1000万円超であれば消費税の納税義務も引き継ぎ、当初から課税になります。
③ 相続以外で引き継いだ場合
生前に事業を引き継いだ場合は②の特例に当てはまらないため、引き継いだ子どもが一から開業したものとして消費税の納税義務を判断します。
①と同じことになるので当初2年間は基本的には免税です。
今回、会計検査院が指摘しているのは③のケースです。
抽出したほぼ全員が先代が廃業届を出した次の日付けで開業届を出していたようです。
法律上はセーフなのでこの形態で免税になっている人に今から消費税が追徴されるわけではありません。
ここで連想するのが「法人成り」。
個人事業を行なっている人が法人へ移行した場合には、別人格であることから消費税は当初2年間免税になります。
ただ、上記の会計検査院の理屈からすれば、これも「実態は継続しているのに免税はおかしい。制度の趣旨と違う」ということになってしまいそうです。
後継者不在で廃業せざるを得ないケース、後継者がいる場合でも相続税負担に苦しむケースなどいかに中小企業の承継時に事業と雇用を守っていくかというのがテーマになっている現状において、理屈は分からないでもないですが課税強化するのはいかがなものかという気はします。
取り越し苦労で終わってくれればいいのですが、消費税増税を控えて消費税にまつわるいろんな部分が厳しくなっていく傾向は続きそうです。