馬券購入は事業?

posted by 2018.10.15

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 前回の続きで外れ馬券訴訟の最新判例を見ていきます。
従来の争いは「一時所得」「雑所得」かが論点でした。
一時所得は当たりと直接対応する1枚の馬券代しか経費として引けないものの雑所得であれば外れ馬券も経費になるからです。
いくつかの判例を経て、遊びや偶然の要素がない、ほぼ”仕事”のような買い方であれば「雑所得」という通達に変わったのですが、そこまでやると「事業所得」に該当するのではないか、という考え方も出てきます。

 

 事業所得は所得税法27条で次のように定義されています。

「農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得をいう。」

 政令も同じようなことが書いてあるだけで正確な定義はありません。
過去の判例等で基準となっているのは主に次のような要素です。

・営利性、有償性、継続性、反復性がある
・リスクをとって自己の計算で活動している
・精神的、肉体的に労力を費やしている
・人的、物的に投資している
・生活できるだけの安定収益を得られる可能性がある
・生活状況
・職業や社会的地位

 これらの要件を満たせば「事業所得」、満たさなければ副業的な「雑所得」になります。

 

 今回裁判で争ったのは、横浜市の男性で、競馬予想ソフトを使って馬券を購入して2年間に3億円の払戻金を受けていました。
事業所得として申告しましたが「営利を目的とする継続的な行為から生じた所得とは認められず、一時所得に該当する」として敗訴しました。
十分に営利目的の継続行為であるように思えますが、社会通念上”職業”と言えるのかどうかという点が引っかかったのかも知れません。

 ただ、昔なかった職業、例えば「ユーチューバ―」のような職業も存在するので”職業”や”事業”の概念も今後変わっていくのかも知れません。

 

 事業所得になると雑所得に比べどういうメリットがあるかについて書く予定でしたが長くなったので次回へ続きます。