災害と税金 ⑦ 消費税の特例

posted by 2018.07.20

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 災害と税金の7回目は「消費税の特例」です。

 消費税は計算方法により税額が大きく変わります。
設備投資などの予定を考慮して事業年度が始まる前に届出書を提出するのが原則です。
ただし災害に関しては突然襲ってくるものであるため、予測することができず消費税的に不利になることがあります。
そのような場合に届出期限を緩和する特例が設けられています。

 

5.消費税の特例

① 対象者

特定非常災害により被災した事業者

 

② 届出の期限

延長された申告期限まで。
届出の参考事項の欄に「西日本豪雨による災害の被災事業者である旨」を記載。

 

③ 具体例

<課税事業者を選択する場合>

免税事業者なので消費税は元々ないが、被災したことにより修繕費や設備投資が増えるので消費税の還付を受けたい。

 

<課税事業者の選択をやめる場合>

大規模な設備投資をする予定で課税事業者を選択していたが、被災して中止したため、消費税の還付を受けられない。

 

<簡易課税を選択する場合>

被災して帳簿が消失したため、原則課税による計算ができないので簡易課税を選択したい。

なお簡易課税の選択が制限される場合であっても被災した場合は簡易課税選択が例外的に可能になります。
課税事業者を選択した事業者が調整対象固定資産(100万円以上)や高額特定資産(1000万円以上)を取得した場合には以後2年間、簡易課税を選択できませんが、被災した場合はこの縛りがなくなります。
同様に課税事業者の以後2年縛りもなくなるので基準期間の売上が1000万円以下であれば免税事業者になることもできます。

 

<簡易課税をやめる場合>

売上だけで消費税を計算する簡易課税を選択していたが、被災して修繕費や設備投資が増えるため、原則課税で還付を受けたい。

 

 申告書を提出する時までに判断すればいいので、試算した上で原則課税、簡易課税、免税の中から最も有利な方法を選択するようにしましょう。