景気と税収

posted by 2017.11.10

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 日経平均が2万3千円を超えるなど景気のいい話もありますが、なかなか実感が伴いません。
では税収の面ではどうなっているのでしょうか。

 平成28事務年度(平成28年7月~平成29年6月)の法人税と源泉所得税に関するデータが出ているのでそこから紐解いていきます。

 

1.法人税

<所得金額>
・63兆4749億円で前年から2兆円増加7年連続で過去最高を更新

<法人税額>
・11兆2372億円で前年から1472億円減少。税率引き下げが要因。

<黒字申告>
・黒字(納税):33.2%
・黒字(繰越欠損消化で納税なし):24.5%
・赤字:42.3%

 5年前は黒字で納税していた法人は27.4%でしたが、33.2%まで増加しています。
なお決算書は黒字でも過去の繰越欠損を消化している途中の会社が24.5%あり、約1/4を占めます。

 法人税を見る限り、景気は上向いていると言えそうです。

 

2.源泉所得税

<給与所得>
・10兆4858億円で前年より2088億円(2%)増加

<利子所得>
・3365億円で前年より602億円(15%)減少。低金利の影響。

<配当所得>
・3兆9140億円で前年より7056億円(15%)減少

 

 給料の源泉所得税が増えているということは給料が増えていることになりますが、実際そうなんでしょうか。

 厚生労働省の統計によると9月の名目賃金は前年同月に比べ約0.9%増加しています。
これは人手不足による給料の増加などが要因として考えられます。

 一方、物価約0.9%上昇しているため、実質賃金としては約0.1%低下しています。
このあたりが景気を実感できない要因なのかも知れません。

 政府による賃金引上げ要請には賛否ありますが、物価がじわじわと上がる中、それなりの賃金増加がないと”好景気”は実感できなさそうです。