株を贈与するタイミング

posted by 2017.09.7

kabu

 事業承継の一環で同族会社の株を贈与することがありますがタイミング的にはいつがベターなのでしょうか

 同族会社の株は換金性が低いにも関わらず、支配力を評価するため株価が高くなる傾向があります。
それだけに贈与するならなるべく株価が低い時が狙い目です。

 

① 自社の業績が良くない時期

業績が悪く赤字であれば当然株価は低くなり、極端な場合は0円になることもあります。
また役員退職金など臨時的損失がある時も株価は下がります

 

② 同業の業績が良くない時期

株価の計算には自社の情報と同業他社の情報とを使います。
上場している同業他社の株価平均を使う評価額が「類似業種比準価額」でこの株価は2ヶ月ごとに発表されています。
決算が出てから集計するので少しタイムラグがあり、平成29年6月までの分が8月7日付けで公表されています。
同業平均を使うだけに業界全体の景気がふるわない時期は株価も低くなる傾向があります。

 

③ 改正時期

類似業種比準価額の計算について平成29年から改正があり、利益の影響が3/5から1/3に低下しています。
利益の多い会社は株価が下がり、配当や内部留保が多い会社は株価が上がる傾向があります。

改正でもう1点見逃せないのが過去2年間の平均が使えるようになったこと。
全体として過去2年の株価は少しずつ上昇しています。
そのためなるべく古い株価を使えた方が株価は低くなる傾向があります。
急激に景況が良くなった業界ではその傾向はさらに強くなります。

 

 ①②は時期が分かりやすいですが、③は計算してみないと分からない部分があります。
株を移す必要性を感じている会社は一度試算することをお薦めします。

 

 なお実務上、株価検討の時期は決算完成後で1年のうちでは9~11月頃が多いです。
理由としては

・決算直後の贈与にすれば決算の数値がそのまま使える。
・路線価が7/1に公表されている。
・今年の贈与にするには年内に株価を計算する必要がある。
・会計事務所が比較的余裕のある時期である。

といったところです。