留保金課税とは②

posted by 2017.07.27

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 前回に続いて留保金課税について見ていきます。

 会社に貯まったお金を社外に動かすと何らかの税金がかかってしまうので、オーナー企業であれば「会社に資金を置いておこう、どうせ自分の会社だし」となりがちです。
その留保した儲けに追加的に課税するのが留保金課税ですが平成19年度に改正があり事実上停止されています。
これは不景気の時代が長かったので設備投資や研究開発のための資金を確保しやすいよう減税(正確には追加の税金をなくす)しようというものです。

 ”事実上停止”というのは完全になくなったわけではなく「資本金1億円以下の会社には適用しない」という規定です。
日本の会社の99%以上は資本金1億円以下なのでほとんどの会社にはかかっていません。

 その後さらに平成22年度に改正があり、資本金1億円以下であっても大企業(資本金5億円以上)の100%子会社であれば留保金課税が適用されることになりました。
これは大企業の子会社は保護すべき中小企業には当たらないという考え方によるものです。

 

 留保金課税は現在はごくごく一部の企業のみが対象になっていますが、対象範囲を広げて復活させようという話が毎年の税制改正の時期に出てきます。
その意図は個人と会社が一体である同族会社への締め付けというより、儲けを従業員給料や設備投資に回して欲しいという政治的な意味合いが強いです。
その意味では中小企業より多く留保している大企業をターゲットにする可能性もありますが、いずれにしても成長意欲を削ぐような増税は勘弁願いたいところです。