退職金はいつ経費になるのか? ②役員編

posted by 2017.07.25

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 昨日の続きで役員退職金がいつ経費(損金)になるかを見ていきます。
従業員の場合と異なり、【役員】については損金算入時期が通達に書かれています。

 

 法人税基本通達9-2-28を要約すると次のようになります。

① 原則

株主総会の決議等により金額が確定した事業年度

 

② 例外

損金経理すれば支払った事業年度でもOK

 

 原則は確定日ですが、役員退職金は金額も大きくすぐ支払えない場合もあることから例外処理も認められています。

<例>
・7月決算
・7/15 退職
・7/25 株主総会で退職金決定
・8/25 退職金支給

 この場合は原則により7月決算でも計上できますし、支払日の属する翌期に計上することも可能です。

 

③ さらに例外(法人税基本通達9-2-32)

役員退職金については分掌変更に伴って支給されるケースもあります。
分掌変更とは、例えば取締役が監査役になったり、常勤役員が非常勤役員になるなど役割が激変し、実質的に退職状態になることを言います。

分掌変更の場合も役員退職金を経費にすることはできますが条件がいくつかあります。

・給料が半分以下になる。
・経営上主要な地位を占めていない。
・未払でなく全額支払っている。

 

 ①の原則では未払であっても経費になりましたが、③の例外では未払だと経費になりません。
これは会社に何らかの形で在職しているのにも関わらず実質に着目して退職金を認める特例なので、せめて実際にお金を動かしてもらわないと退職金とは認められない、というイメージです。

 

 役員退職金は決算対策として使われることも多いので確実に経費(損金)処理できるよう要件や判例を十分確認して慎重に進めましょう。