会社が従業員や役員に退職金を払った場合、経費(損金)になりますがそのタイミングはいつなんでしょうか。
「そりゃ払った時でしょ」と普通考えますがそうとは限りません。
金額が大きく、決算への影響も大きいだけに確認しておきます。
従業員と役員では取扱いが違いますのでまずは【従業員】から。
【従業員退職金の損金算入時期】
特に規定がないので通常の経費と同じように考えます。
つまり支払うという債務がいつ確定したかという考え方です。
・債務の成立
・支払う原因となる事実が発生
・支払額を合理的に算定できる日
これを退職金に当てはめると次のようになります。
① 退職日
② 退職金支払日
③ 就業規則に明記されている支払日
就業規則は例えば「退職日から3ヶ月以内に支払う」というように書かれていれば3ヶ月後の日が最も遅い損金算入時期になりますし、それより早く支払えば②により支払日で損金に算入することもできます。
その意味では①②③を決算の状況に応じて調整することも可能です。
例えば、7月決算で7/25に退職して、支払ったのは8/25であれば(7月末までに金額が確定していることを前提に)今期の経費か来期の経費かを選ぶことはできます。
逆に退職するのが8/25と決まっていて金額だけ先に決めて7/25に支払ったとしても今期の経費にはなりません。
これは退職の事実がまだ発生しておらず、予定通り8/25に退職するとは限らないためです。
賞与の場合は決算末日までに通知して1ヶ月以内に支払えば経費になる特例がありますが退職金にはそのような特例はありません。
なお会計的には今期に発生しているものは今期の経費にしておく方が健全です。
次回は役員退職金の損金算入時期について見ていきます。