脱税vsマルサ

posted by 2017.07.21

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 毎年夏にマルサの活動状況が国税庁から公表されています。
その時に儲かっている業界、国税庁が目を光らせている業界が分かり、脱税の手段も多様化していて興味深いので平成28年度の実績をご紹介します。

 

1.処理件数193件 うち告発件数132件(68.4%)

処理件数、告発件数ともここ5年で最も多く、マルサが活発に動いている状況と言えます。

 

2.一件当たりの脱税額(告発分)9600万円

毎年1億円前後で推移しています。これは逮捕の目安となる脱税額が1億円であることが影響しています。

 

3.税目ごとの特徴

告発された132件の内訳は法人税79件、所得税27件、消費税23件、その他3件です。
脱税額が大きくなる法人が多いのは従来からですが、今年は消費税の件数がほぼ倍増しているのが特徴的です。
増税を控えていて国民の関心が高いこと、預り金だけに国としても許し難いというのが増加の背景です。

 

4.業種の特徴

多いのは①建設業、②不動産業、③金属製品製造、④商品株式取引、⑤運送業
①②⑤は常連ですが③④は新顔です。また毎年上位に入るクラブ・バーの件数は減っています。業界ごとの景気が現れています。

 

5.脱税の手口

<消費税>

・高級腕時計を海外の関連会社に輸出した形にして消費税を不正還付。削除されたパソコンのデータを復旧させて動きを解明。

・運送会社が従業員への給料を外注費に仮装してかつ過大計上もして消費税を脱税。

<国際>

・保険代理店が国外の関連会社に架空の手数料を支払い。租税条約による情報交換制度で国外預金を解明。

・著作権使用料収入を国外の口座に振り込ませて所得を秘匿。不正資金は国内の投資信託や不動産で運用。

<好調業界>

・震災復興でがれき廃棄を行なう個人事業主が給与所得者であると偽って無申告

・ネットショップで衣類の通信販売を行う個人が売上データを改ざんして所得を過少に申告。

外国株式の架空の売却損を捏造して利益を圧縮。脱税請負人グループに脱税工作を依頼していた。

・太陽光発電設備の稼働日を偽装して100%減価償却

 

 架空経費やB勘定などベタなものから法の隙間を狙ったものでまで様々な手口がありますが、今年の発表では手口だけでなくいかに脱税を解明したかという手段が書かれていたのが特徴的でした。
「こういうのはばれるで!」という抑止力を期待しているようです。
たいていのことはばれるので魔が刺さないよう気をつけましょう。