民法大改正

posted by 2017.07.5

 民法改正法案が5月に成立し、約3年の周知期間を経て施行されます。
明治29年の制定以来約120年ぶりの抜本改正で約200項目に上る改正があります。
時代の変化に対応し、消費者保護に重点を置く内容だけに日々の生活に影響する身近な改正項目が多くなっています。

 

 主な項目をご紹介します。

 

<敷金・原状回復>

退去時の敷金返還トラブルを防ぐために、原則は返還することを明文化し、壁紙や畳の通常使用に伴う経年劣化については借主が負担しないことが定められました。

 

<法定利率>

5%固定から年3%でスタートし3年ごとに見直す変動制になります
法定金利は契約に金利を定めない場合に適用されますが具体的には事故の損害賠償や保険金の受け取りに影響するので金利が下がれば受け取る額は増えます(運用金利を考慮するため)。

 

<個人根保証>

不特定債務について個人が保証人となる保証を個人根保証と言いますが、このルールも変わります。
従来は賃貸契約の保証人については個人根保証の保護対象外でしたが改正で範囲が拡大し、保護対象に含まれます。
これにより個人根保証であることを明示し、極度額を定めて書面等で保証契約をしなければ無効となります。

 

<個人保証>

従来は連帯保証の手続きが簡単であるため、よく分からないうちに連帯保証人になり借金を背負うケースもありました。
そこで親族や知人など第3者が保証人になる場合は公証人が立ち会って意思確認をした上でしか連帯保証人になれないよう改正されます

 

<時効期間の統一>

従来はツケや宿泊代は1年、弁護士費用は3年、診療費は3年など時効で消滅する期間がバラバラでした。特に飲み屋のツケは1年と短いため、時効で消えないように1年ごとに督促する必要もありました。
これが改正で5年に統一されるので回収のチャンスは広がると言えます。

 

<約款>

保険契約やネット取引での契約ルールである約款については従来は民法上特に規定はありませんでしたが、改正で明文化され、消費者の利益を一方的に害するものは合意しなかったものとされます

 

 税金に関連するものとして相続関連の見直しも中間試案にはありましたが改正はされませんでした。
次回その内容を見ていきます。

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