相続の分割はいつまで?②

posted by 2017.05.25

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 配偶者の税額軽減や小規模宅地の評価減といった相続税が安くなる特例を受けるには遺産分割ができていることが前提です。
10ヶ月の申告期限内に分割できていない場合には一旦未分割の状態で申告して3年以内に分割を合意すれば特例の適用を受けられます。
では3年経ってもまとまらない場合はどうなるのでしょうか。

 

 その場合は「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出すればさらに延長することが可能です。
延長してその後分割ができた時は、そこから4ヶ月以内に更正の請求をすれば還付を受けることができます。
申請書の提出期限は3年を経過する日の翌日から2ヶ月以内(亡くなってから4年以内)で提出先は税務署長です。

 この手続きはあくまで「承認の申請」であり税務署長が許可してくれなければ延長を受けることはできません

承認を許可するケースとして次にような例が挙げられています。

① 分割の前提となる事項(相続人や遺産の範囲、遺言の効力など)に関して裁判など法的手続きを取っている。

② 遺産分割に向けて法的手続きを取っている。

③ 民法の規定により遺産分割が禁止されている。

④ その他個別事情(相続人が行方不明、重度の疾病、長期の国外滞在など)。

 

 上記のケースは客観的に遺産分割協議ができない状況を想定しています。
したがって単にもめているとか連絡を取っていないといった内容は該当しません

 では弁護士さんに入ってもらって交渉している場合はどうなるのでしょう。
これに関しては国税不服裁判所で争った例があり、家事調停に匹敵する協議をしてきたと主張しましたが申請は却下されました。

 

 3年以上延長する場合は法的手続きに移行していることが一つの基準になりますので3年を越えそうな場合はギリギリではなく早めに準備しておきましょう。