税務調査はいつ来る?の4回目は相続税です。
<時期>
相続税は亡くなってから10ヶ月後が申告期限ですが、申告期限から1~3年後に来るケースが多いです。
更正期限(指摘できる期間)は相続税が5年、贈与税が6年なので亡くなってから5~6年経てば通常もう調査は来ないと考えていいでしょう。
<内容>
確率で言うと平成27年度の場合、亡くなった方が約129万人。
うち相続税が発生する被相続人は約10万人(8%)。
さらに調査の件数となると約1.2万人なので申告した人の約8人に1人の割合で税務調査があることになります。
調査に来る可能性が高いものとして次のようなものがあります。
・相続税が発生している。
基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人の数)を大幅に下回る財産であれば少々財産が増えても相続税は発生しないので、調査の確率は下がります。
・預金の動きが不自然。
相続税の調査でもれが多いのがダントツで現金預金で約35%を占めます。
要因としては現金預金は”動産”だけに動かしやすく安易に財産から外しがちであるためです。
被相続人の預金を引き出して孫に変えるなどの「名義預金」や贈与したのに申告していない場合などに指摘されます。
税務署は少なくとも時効である過去6年~最長10年程度の預金の動きを銀行から資料を取り寄せて追いかけます。
被相続人は当然として相続人である配偶者や子、相続人ではない孫、兄弟、嫁など広い範囲の親族の預金をチェックしてから税務調査に来ています。
・収入に比較して預金が少ない。
生前の所得税の申告内容から相続財産額を推定することはできます。
元々年収が高い人だけでなく、不動産の売却があった場合も預金として残るはずなので、収入と財産のバランスに不自然さがあれば調査に来やすくなります。
また年収2000万円以上の場合に所得税の確定申告書に添付する財産債務調書も相続財産額を推定する上での重要な資料になります。
・相続人ごとの申告内容が異なる。
申告書は相続人で共同提出するケースが多いですが、遺産分割協議がまとまらなかった場合などは別々に提出することがあります。
その内容が異なる場合は少ない方が何かが漏れていると考えるので調査に来やすくなります。
・海外資産がある。
相続税は金額が高い分、節税や租税回避も複雑化しており、特に海外資産は捕捉が難しい分重点的にチェックしています。
海外に資産がある場合だけでなく、相続人が海外にいる場合や多額の海外送金がある場合も海外の税務当局と連携しながらチェックしています。
相続税は税務調査があると8割以上で何らかの漏れを指摘されています。
亡くなった方の財産なので相続人が完璧に把握するのが難しい面もありますが、それ以上に税務署は「漏れがある」と目星をつけてから来ていると言えます。
特に預金のもれは”簡単に見つかる”ので軽く考えずに亡くなった時点の残高だけでなく過去の動きにも着目して申告する必要があります。