平成29年から海外資産と海外取引の自動報告制度が始まります。
これはOECDの共同報告基準(CRS)によるもので、100以上の国と地域との間で自動的に情報交換が行われるというものです。
<従来> 租税条約に基づく情報交換制度
① 要請に基づく情報交換(個別の納税者を指定)
② 自発的情報交換(外国税務当局からの情報提供)
③ 自動的情報交換(支払調書がある国のみ利子や配当の情報を一括送付)
<改正> CRSに基づく自動的情報交換
(概要)
「口座残高(ストック)」と「各取引から生じる利子・配当等(フロー)の年間受取総額」を強制的に報告
(対象者)
個人法人問わず、金額基準もなし。特定取引を行なうすべての者。
(届出書)
特定取引を開始する場合に新規届出書を提出が必要。
氏名、住所、居住地国、マイナンバーなどを記載。
居住地を異動した場合には3ヶ月以内に異動届出書を提出。
(報告事項)
氏名、生年月日、住所、居住地国、マイナンバー、口座残高、利子配当等の年間受取額など
(罰則)
届出書の未提出や偽りの記載は6ヶ月以下の懲役叉は50万円以下の罰金。
要するに海外の資産も取引も筒抜けになるということです。
しかも税務署に出す国外財産調書と違って、この情報交換制度には罰則もあります。
パナマ文書をきっかけとした租税回避に対する厳しい調査の一環ではありますが、普通に海外取引をしている企業や個人にとっても事務負担は増えてしまいそうです。