相続後のスケジュール②

posted by 2016.10.27

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 相続税は10ヶ月の期限までに申告書を提出すれば終わり、というわけではなくその後も所得税など他の税金に影響する”期間”があります。

 

① 申告期限から3年以内:未分割財産の分割で特例適用

小規模宅地の特例、配偶者の税額軽減といった特例は申告期限までに遺産分割ができてなければ受けることができず相続税は大幅に高くなります。
分割の話し合いは長引くことも多いので救済措置があり、申告期限から3年以内(亡くなってからだと3年10ヶ月以内)に分割できれば特例の適用があります
適用を受けるためには期限内申告書に「3年以内の分割見込書」を忘れずにつけておく必要があります。

 

② 申告期限から3年以内:譲渡所得の取得費加算

相続で取得した不動産や株式を申告期限から3年以内に売却した場合には払った相続税の一部を取得費として追加で控除できるので譲渡所得税が安くなります。
特に代々引き継いできた不動産は取得費が5%しか引けないケースが多いため、取得費加算のメリットが大きくなります。

 

③ 相続から3年後の年末:空き家譲渡の3000万円控除

亡くなった親が一人で住んでいた築35年以上の家を耐震リフォームするか取り壊して、使わずに3年以内に売ると売却益から3000万円を控除できます。
3年後の年末というのはH26年3月に亡くなっていれば平成29年の12月になるので最長4年ということになります。
売却期間がH28.4.1~H31.12.31までとされているので逆算するとH25.1.2以降の相続について適用されます。

 

④ 申告期限から1年ごと:株式の納税猶予の継続届出

非上場株式の納税猶予の特例を受けている場合には申告期限から1年ごとに税務署に継続届出書を提出する必要があります。
これは事業を引き継いだ社長が事業を続けることを条件とした税金の”猶予”なので現況確認があります。
届出は5年間は毎年提出ですがその後は3年に1回になります。

 

⑤ 申告期限から3年ごと:農地の納税猶予の継続届出

農地の納税猶予の特例を受けている場合には3年ごとに税務署に継続届出書を提出する必要があります。
これは農業を引き継いだ人が農業し続けることを条件とした税金の”猶予”なので3年ごとに現況確認があります。
以前は特例農地等の全てを担保に提供していれば届出は不要でしたが平成17年以降は全ての納税猶予で3年ごとの届出が必要です。

 

 税金が安くなる特例と継続手続きとがありますが、安くなる方は”3年”がキーワードです。
④⑤の継続手続きについては届出を忘れると猶予されていた相続税と利子税を一括で払わないといけないので注意が必要です。