贈与税の計算

posted by 2016.01.5

(1)贈与税とは?

民法において、贈与とは「お互いに合意のうえ、自己の財産を無償で相手方に与えること」と規定されています。

贈与税は、個人から財産を贈与されたときに、贈与された人に対して課せられる税金です。

もし贈与税がないと、生前に将来相続人となるべき人に財産を贈与してしまえば、相続税はかかりません。これでは相続税の意味がなくなりますので、相続税を補完するために、贈与税は設けられています。

また、贈与税には110万円の基礎控除額があります。年間110万円までは、贈与されても贈与税はかかりません。

なお、法人から個人が財産をもらったときには贈与税ではなく、所得税がかかります。

 

(2)贈与税のかかる財産

贈与税のかかる財産は、金銭に見積もることができる経済価値のあるすべてのものです。

具体的には、現金・預貯金・有価証券・宝飾品・車・建物・土地・貸付金・ゴルフ会員権・電話加入権などになります。

また、次のような場合も、贈与財産とみなされて贈与税がかかります。

①自分が保険料を負担していない生命保険金を受け取った場合(被保険者が保険料を負担していないしていないもの)

②実際の価値よりも著しく低い金額で財産を譲り受けた場合

③債務を免除された場合

 

(3)贈与税のかからない財産

次に掲げる財産は、贈与税が課税されません。

①法人からの贈与により取得した財産

②扶養義務者から生活費又は教育費に充てるために贈与を受けた財産のうち通常必要と認められるもの

③公的事業用財産

④特定公益信託から交付される金品

⑤心身障害者扶養共済制度に基づく給付金の受給権

⑥公職選挙法の適用を受ける選挙の候補者が選挙運動に関し贈与により取得した金銭等で公職選挙法の規定による報告がされたもの

⑦社交上必要と認められる香典等

⑧特別障害者扶養信託契約の受給権のうち6,000万円までの部分

⑨相続により財産を取得した人が、相続があった年に被相続人から贈与された財産

 

 (4)贈与税の計算方法

1月1日から12月31日の1年間に、贈与された財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引き、課税価格を算出します。その金額を下記の税率表に当てはめて贈与税額を算出します。

 

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
       ~200万円以下        10%  ―
200万円超~300万円以下        15% 10万円
300万円超~400万円以下        20% 25万円
400万円超~600万円以下        30% 65万円
600万円超~1,000万円以下        40% 125万円
1,000万円超~1,500万円以下        45% 175万円
1,500万円超~3,000万円以下        50% 250万円
3,000万円超~4,500万円以下        55% 400万円
4,500万円超~     

 

   (例①)500万円を贈与された人の贈与税額(20歳以上で直系尊属からの贈与)

    基礎控除後の課税価格  500万円-110万円=390万円

    贈与税額        390万円×15%-10万円=48万5,000円

 

   (例②)500万円を贈与された人の贈与税額(例①以外)

    基礎控除後の課税価格  500万円-110万円=390万円

    贈与税額        390万円×20%-25万円=53万円

 

 

(5)申告・納税の時期

贈与税がかかる場合には、贈与された人(受贈者)が申告・納税をします。

申告・納税は財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日の間に行います。