IFRS(国際会計基準)と日本の会計基準は似ているところもありますが、大きく違う点もあります。その一つが”のれん”の償却の取扱い。
償却の話の前に”のれん”の定義についておさらいしておきます。
”のれん”とは企業を買収した際に高めに買った場合の差額または安めに買った場合の差額のことを言います。
決算書上は高めに買った差額(超過収益力)は「無形固定資産」、安めに買った差額(負ののれん)は「特別利益」と表示されます。
負ののれんはかつては一旦「固定負債」に計上してから償却していましたが平成22年から一括で利益に計上することになりました。
次に償却ですが、日本の会計基準では20年以内の効果が及ぶ期間にわたって定額法または合理的な方法によって償却します。
IFRSでは償却がなく、資産として劣化した(買収が期待通りの効果をあげていない)場合に減損処理を行ないます。
これがどう影響するかというと通常の状態ではIFRSの方が償却がないため経費が少なく、利益が多く見えます。そのため買収に積極的な企業でIFRSを採用する動きがあります。
ただし買収した事業の業績が悪化した場合には減損処理をしないといけないため、一気に損失が表面化します。
減損処理を一言で言うと「資産の将来に向けての収益性が低下して投資の回収が見込めない場合に、価値の下落分だけ損失を発生させる処理」です。
海外での企業活動の増加を反映してIFRSを採用する日本企業が増えています。
ただし、のれんの償却については変動の激しい不安定なIFRSより定期償却する日本の会計基準が注目されています。