のれん ③税務編

posted by 2014.06.25

 のれんには会計上2つの処理がありました。
日本の会計基準では20年以内に償却するのに対し、国際会計基準IFRSでは償却せず、業績が悪化した場合に減損処理を行ないます。

 では税務処理はどうなるのでしょうか。

税務上も償却はしますが、年数が異なります。
会計上の20年に対し、税務上は5年で償却します。

例:1億円ののれん
 会計上:償却費500万円(1億円÷20年)
 税務上:償却費2000万円(1億円÷5年)

税務上の方が多く償却できるため、税金を計算する際には経費を1500万円追加で計上します。

 

 のれんは買収時の時価と簿価の差額により発生しますが、税務上の”適格合併”に該当すれば差額としてののれんは認識しません
適格合併とは持株比率や雇用などの要件を満たすグループ内の事業再編が行われた場合に、課税を繰り延べるものです。
平たく言うと合併の前後で実態が大きく変わらない場合には合併差益に対して税金をかけない、ということです。
他にも適格合併には、繰越欠損が引き継げる、みなし配当課税されない、といったメリットがあります。
適格合併でない場合には、引き継ぐ資産負債を時価評価するため差額が発生し、これが税務上の”のれん”になります。

 同じ”のれん”でも会計上と税務上で違いがあり、会計上においても日本の会計基準とIFRSでは処理が異なります。
複雑ですが背景や目的の違いを知ることで数字が生きたものとして見えてくるのでそういった意味ではおもしろいとも言えます。