相続財産より借金が多い場合、亡くなってから3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申請をします。
すると借金も背負わなくてよくなりますが、財産ももらえなくなります。
ただし相続放棄してももらえる財産があります。
代表的なものは『生命保険金』と『退職手当金』です。
民法上では亡くなった時点に存在する全ての財産と借金などを引き継ぐのですが、これらは亡くなった時点では存在しません。
どちらも死亡後にもらえるものであるため相続財産とならず、”放棄していてももらえる”という理屈になります。
では、亡くなってから受け取る給料、賞与、年金は?
① 給料・賞与
受け取った日が相続後であっても相続財産に含まれます。
例:12/11死亡
11月分給料(11/1~11/30)を12/25受取り
12月分給料(12/1~12/11)を1/25受取り
冬期賞与(6/1~11/30勤務分)を12/10支給予定が遅延して12/12受取り
⇒いずれも相続財産となりますので放棄すると受け取れません。
②年金
亡くなってから相続人の名前で請求する年金は、相続人固有の財産とされるため、相続財産に含まれません。
したがって相続放棄していても受け取れます。
では税金面は?
生命保険金、退職手当金については相続税の課税対象になります(非課税枠はあります)。
これらは民法上は相続財産ではありませんが、元手である保険料や会社での勤務は亡くなった方によるため、実態に着目して相続税が課税されます。
給料・賞与については相続財産に含まれるので相続税も課税対象です。
年金については相続人固有の財産であることから、相続人の一時所得となります。
まとめると”放棄したら何ももらえないわけではない”、”相続税は実態に着目する”点にご注意下さい。