不定期連載 関根稔先生の「税理士のための百箇条」を読み解きます。
第44条 遺言書を作成しよう
関根先生曰く、「遺言書には、良い遺言書と悪い遺言書がある」と。
「良い遺言書とは、遺留分が確保されている遺言書」だと。
遺留分とは何か、の説明をする前に、まずは「法定相続分」の説明をしましょう。
法定相続分とは、民法で定められた相続財産の分け方です。
配偶者は半分貰えるとか、子供たちは均等に頭割りとか。もちろんこの通りに分けなくてもかまいません。
さて、それでは「遺留分」ですが、これは簡単にいうと「最低保証額」みたいなものです。法定相続分の半分とされています。
相続人が息子2人だとしましょう。法定相続分は各2分の1であり、遺留分は4分の1となります。
よって、「財産は全て長男へ」という遺言書があっても、次男が「ちょっと待った、遺留分は貰うで」と主張すると、4分の1は次男へ渡さなければなりません。
遺留分というのは、「遺留分減殺請求」という手続きをして初めて効果が生じます。
つまり「全てを長男へ」という遺言書を残すと、次男は遺留分減殺請求をするかどうかの選択を迫られることになります。
兄弟間で、遺留分減殺請求をした、とか、されたとか、感情的なシコリを残すことになるかもしれません。
それなら最初から「4分の3を長男へ、4分の1を次男へ」という遺言書にしておく方が無難です。
そんな訳で、「良い遺言書とは、遺留分が確保されている遺言書」ということになります。
「子どもたちは仲良しだから作らなくていい」という人もいます。
親が生存中は当然親の財産なので関心が薄くても、親が亡くなって自分たちの財産になれば無関心ではいられません。
また「財産が少ないから遺言は必要ない」という人もいます。
逆に少ないからこそ必要です。財産が多ければ分けようはありますが、分けにくい自宅しかない場合はもめがちです。
遺言書の作成には気を付けるべきポイントが色々とありますので、一度ご相談されることをお薦めします。